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2012年3月4日

 「世界中、どこを探しても、戦争で幸せになった人は、一人もおりません。私は、この世界の歴史から沢山の教訓を学び、勇気と自信を持ったのであります」
▼1985年9月、軍用地違憲訴訟の伊江島出張尋問。米軍の土地接収に一貫して抗(あらが)ってきた反戦地主・阿波根昌鴻さんは、数時間に及ぶ陳述をこう締めくくった
▼復帰40年の今の沖縄は、阿波根さんが繰り返し説いた「平和の島」にはほど遠い。嘉手納や普天間に爆音がとどろき、名護市辺野古、東村高江では米軍施設建設に反対する住民の座り込みが続く
▼各地の抗議行動を見て思う。相手に罵詈(ばり)雑言を浴びせるのではなく、道理をもって諭すように語る「非暴力」の姿勢が目につく。阿波根さんの運動のDNA(遺伝子)が確実に継承されていると感じる
▼最近で言えば高江の光景だ。住民を前に拡声器で立ち退きを呼び掛ける防衛局職員ら。住民が測ったら90デシベルあった。工場の中に相当する騒音だ。音の暴力といえる行為にも住民は声を荒らげることなく工事を止めさせた
▼基地の島を平和の島に―と奮闘した阿波根さんが亡くなって21日で10年。3、4日は伊江島で遺志を受け継ぐ学習会が開かれている。阿波根さんが建てた平和資料館に掲げられる言葉は、時を超えた真理を表す。その重みをあらためてかみしめる。「すべて剣をとる者は剣にて亡ぶ」


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