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県IT振興計画 日本とアジアの懸け橋に2012年3月7日 
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 県が策定を進める情報通信産業の新たな振興計画の骨子案が明らかになった。2021年度の達成目標として、生産額が11年度比83・3%増の5800億円、企業数が72・0%増の700社、従業員数が66・7%増の5万5千人を掲げる。計画を画餅で終わらせぬよう、実効性の高い戦略的な取り組みを官民挙げて推進したい。
 新計画は12年度からの新たな沖縄振興計画となる「沖縄21世紀ビジョン基本計画」の分野別計画に位置付けられ、情報技術(IT)産業振興の向こう10年間の指針となる。県は3月末までに素案を取りまとめ、住民意見を聞くパブリックコメントを経て5月の計画策定を目指す。
 1998年のマルチメディアアイランド構想に始まる県のIT振興策はこれまで、雇用創出を主眼としてきたが、新計画は「生産額の増加」に力点を置いた。事業成長の結果として雇用が生まれるとの観点に立っており、IT産業の高度化と持続的発展に向け、時宜を得た方向転換といえる。
 IT企業の県内進出は00年度で54社だったが、11年度(推計値)は243社と4・5倍に拡大。雇用人数(県内企業含む)も00年度の8600人から3万2985人と3・8倍に増えた。一方、生産額(同)は00年度の1391億円から3165億円と2・3倍にとどまる。企業集積や雇用創出は着実に進んだが、1人当たりの生産額は減少している実態がある。
 コールセンターなど安い人件費やオフィス賃料を理由に県内進出を決めた企業が多いことが背景にある。「安価な受託先」から脱却するためにも、人材確保や技能習得、大容量高速通信インフラの整備など克服すべき課題は多い。
 国内外の事業環境の変化に応じ、県の支援施策も機敏に見直す必要がある。一例を挙げれば、通信コストの低減化事業は専用線接続料金が対象だが、現在は専用線より安価なインターネット環境が構築されるなど、実態に即した対応が急務だ。
 もとより、この間の企業や人材の集積、海外ビジネスの可能性といった沖縄の強みを生かすためにも、情報サービスやソフトウエア開発など各分野で独自のビジネスモデルの構築や付加価値の高いサービスの提供が不可欠だ。骨子案が掲げるように、沖縄が日本とアジアの懸け橋となる国際情報通信拠点「ITブリッジ」を実現したい。


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