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古酒表示違反 泡盛ブランド失墜の危機だ2012年3月9日 
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 全国的な知名度を獲得しつつある泡盛ブランドが失墜しかねない深刻な事態と受け止めたい。
 泡盛の古酒(クース)の表示に違反があるとして、県内9酒造所が日本酒造組合中央会から、警告や指導を受けていたことが発覚した。業界を牽引(けんいん)する酒造所も含まれ、規約違反商品は指導も含めると26銘柄に上る。一部の不祥事にとどまらず、泡盛業界全体が強い危機意識で再発防止の構築や消費者の信頼回復に全力を挙げる必要がある。
 同中央会の「泡盛の表示に関する公正競争規約」では、古酒と新酒などを混ぜてブレンドする場合、3年以上貯蔵した泡盛が50%を超えなければ古酒と表示できないが、要件を満たさないまま古酒として販売されていた。
 県酒造組合連合会や処分を受けた酒造所によると、規約の誤った解釈や業界の慣例などが原因で故意ではないとされる。あまりにお粗末な理由でにわかに信じ難い。
 なぜなら、県酒連は2004年に古酒の年数表示を厳格化し、ブレンド酒と区別する自主基準を導入しているからだ。それ以前は、古酒の混合割合や製造年が示されず、市場に不満や戸惑いがあった。厳格表示導入は、消費者の信頼獲得に加え、古酒の魅力で本格焼酎との差別化を図るなど泡盛ブランドを確立し、県外市場の開拓を推進することが狙いだった。
 厳格化当時は、5年ごとの酒税軽減措置が07年にも切れるとの臆測があり、延長を訴える上でも業界の自助努力を示す必要があった。結果的に12年の再延長も内定し、業界では同じく自助努力として大型貯蔵施設を整備する「古酒の郷」構想が現在、動きだしている。今回の不祥事は、そうした自助努力や古酒戦略にも水を差す重大事だ。
 中央会の処分は2月13日付だが、県酒連がホームページで公表したのは、本紙取材後の3月6日の深夜だ。それも処分の結果を記すだけで、違反行為の具体的な内容は明らかにされていない。また、県酒連は表示厳格化に伴い、順守状況を監視する委員会を設置していたが、どう機能したかも不明だ。
 不当表示は消費者の信頼を裏切り、世界に誇る「沖縄の宝」の価値を自らおとしめる自殺行為でさえある。消費者に背を向けるように説明責任や危機意識を欠いたままでは、再発防止や信頼回復は程遠いと肝に銘じてほしい。


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