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2012年3月12日

 「まぼろしのように消えてしまった/小さな港町 閖上/思い出して あの人この人/忘れないで/小さな港町 閖上」。宮城県在住の78歳の女性が地元紙、河北新報に寄せた詩だ。東日本大震災によって失われてしまった古里・名取市閖上(ゆりあげ)への望郷と切ない思いがひしひしと伝わってくる
▼11日、閖上地区で朝市が約1年ぶりに再開された。津波で店舗が流され、更地となった場所に約40店舗が出店した。住民が待ち焦がれていた市の再開。白い息を吐きながら魚介類を買い求める住民の笑顔を見て、ほっとした
▼あらゆる日常が様変わりした大震災から1年。被災地は降りしきる雪でいてついた。日本列島は鎮魂に包まれた。尊い犠牲を無駄にしまいと思う半面、「震災後」というにはまだ、ためらいがある。「震災」がいまだ続いているからだ
▼いまだ34万人が古里に帰れず、不便な避難生活を強いられている。被災地からの人口流出、原発事故の影響は復興の歩みにブレーキをかけている
▼荒れ果てた街に立ちすくみながらも、「古里を再生したい」と語る東北の人々。東北人の粘りを感じた1年でもあった。沖縄戦で焦土と化した県土を粘り強く復興させたウチナーンチュとも重なる
▼復興を急ぎつつも、記憶を風化させてはなるまい。「忘れないで」。閖上の詩の一編が胸に染みる。


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