米国のクリントン国務長官が岸田文雄外相と電話会談した際、尖閣諸島の領有権をめぐる問題で、日中両国による対話と冷静な対応の重要性を指摘した。
安倍晋三政権発足後も冷え込んだ日中関係に改善の兆しは見えず、緊張関係は依然高まったままだ。むしろ対立がエスカレートする懸念さえ強まっていることは、極めて憂慮すべき事態と言える。
クリントン氏に指摘されるまでもなく、日中関係の悪化は、両国の政治、経済にとって大きな痛手となるだけでなく、アジア地域を不安定化させ、国際経済にも悪影響を及ぼす。
日中両国は緊張緩和に向け、双方が新しい指導者に交代した好機を逃してはならない。まずは、対話の糸口を見いだすことに全力を挙げるべきだ。
安倍政権は、日米関係の強化を軸に、防衛力の強化や関係国との対中包囲網の形成で事態打開を目指す方針だが、「軍事的圧力」で中国がすんなり胸襟を開くとは到底思えない。ましてや下地島空港での自衛隊活動など軍事拠点化を模索するような動きは、日本への警戒や不信感を募らせる逆効果だけでしかないだろう。
一方、中国は海洋監視船による領海侵入や、航空機による領空接近を常態化させている。7〜8日未明にかけ海洋巡視船が日本領海に13時間以上居座るなど、挑発的行為を自制するどころか、拍車を掛けるような行動は甚だ遺憾だ。
中国に日米安保体制の実効性や日本の力量を試す腹積もりがあるとすれば、あまりに浅はかだ。威圧的、挑発的な振る舞いを繰り返すだけでは、国際社会の理解も支援も得られないと認識すべきだ。
電話による日米外相会談で、クリントン氏が冷静な対応を呼び掛けたのは、「アジア最優先戦略」を掲げるオバマ米政権の危機意識の表れであり、国際社会の強い懸念も反映していよう。
岸田氏は外相就任後、アジア外交での「対話重視」を掲げている。安倍氏も前回の首相就任直後、小泉政権で冷え込んだ日中関係を改善するため、真っ先に中国を訪問し、「戦略的互恵関係」の構築で合意した実績を今こそ思い起こすべきだ。
日中両国は、それぞれの国内にある領土ナショナリズムを沈静化させるべきだ。抜本的な関係改善に向けて互いに歩み寄り、胸襟を開いて話し合ってほしい。
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