県や地元の中止要請を押し切って米空軍は26日、嘉手納基地所属の第18航空団第31救難飛行中隊によるパラシュート降下訓練を強行した。
同基地周辺は、学校や住宅などが密集して広がる。パラシュートを装着した兵士六人が高高度から基地内めがけて次々に降下。地域に恐怖と不安を引き起こしたことは断じて容認できない。
25日の日米合同委員会で今回の訓練を「例外的措置」として認め、なし崩し的に降下訓練が常態化する懸念をもたらした政府の姿勢も、厳しく問われなければならない。
訓練が強行された同じ日、安倍晋三首相は施政方針演説で在日米軍の再編について「抑止力を維持しつつ、負担を軽減するものであり、沖縄など地元の切実な声に耳を傾け」と語った。首相の言葉が空々しく聞こえて仕方がない。
伊江島補助飛行場を使用した訓練では、天候面などの悪条件による制約が多く、訓練所要を満たさない兵士が多数いるというのが米軍側の説明だ。
最小限度の規模に限って例外的に実施するとも説明しているが疑わしい。
事前の説明と実際とでは食い違い、結果的に地域の人々が煮え湯を飲まされる苦い経験を、これまで私たちはたびたび味わわされてきたからだ。
パラシュート降下訓練は、1996年のSACO(日米特別行動委員会)合意で、読谷補助飛行場から伊江島補助飛行場に移転することを決定し、伊江島もこれを受け入れた経緯がある。いったい何のための日米合意だったのか。原則を恣意(しい)的に曲げるようでは合意など無意味だ。
例外を認めれば、基地や訓練を自らの都合に合わせて拡大解釈しつつ使い勝手の良い「便法」として、後々まで利用することになるのは容易に想像がつく。実際、米軍は「今回限りではない」と明言している。
理解に苦しむのは、政府が嘉手納での訓練を「妥当だ」と判断したことだ。
訓練による所要を満たすための軍事的都合と、県民の生命と安全が脅かされる事態回避のどちらを優先させるべきか。答えは決まっているはずではないか。
嘉手納基地は、F15戦闘機訓練の福岡県築上町などへの移転が決まったものの、分散移転に先駆けて地対空誘導弾パトリオット・ミサイル(PAC3)が配備されるなど、機能強化の動きが強まっている。
嘉手納や周辺地区がこれ以上犠牲を押し付けられる理不尽は許されない。ましてやパラシュート降下訓練の追加実施など言語道断だ。
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