ホワイトシンドローム(WSD)に罹患したハナバチミドリイシ。藻が張り付き黒くなった部分が病変部
サンゴのポリプが白く変色し、やがて群体全体に拡大して死滅する原因不明のサンゴの病気「ホワイトシンドローム(WSD)」がオーストラリアやマーシャル諸島共和国などで頻発し、国内でも県の最重要保全区域に指定されている慶良間諸島の安室島南岸で被害が拡大している。座間味、渡嘉敷両村の3ダイビング協会が組織する慶良間海域保全連合会(垣花薫会長)が2月末までに行った調査で、安室島南岸に最も多く生息するハナバチミドリイシ(テーブルサンゴ)の約30%がWSDに罹患(りかん)したことが判明した。
症状の進行速度はサンゴによって異なるが、平均的には1カ月で約20センチ、中には2カ月で1メートル40センチ進行したサンゴもあった。陸域の汚染の影響がほとんど見られない海域でWSDが頻発していることも分かってきたという。
同連合会参事を務め日本沿岸資源研究所研究員として慶良間諸島のサンゴ研究を続け論文も出している入川暁之さん(35)によると、安室島南岸では2004年から症状が目立ってきたという。
同連合会は安室島南岸の被害拡大を防ごうと今年1月、罹患したサンゴの病変部のみを切り取り残った群体への進行を食い止められるか、1年間かけて調べる試験研究を同海域で開始。県水産課にサンゴの特別採捕の許可を得て、1月中旬、WSDに罹患した直径2メートル70センチのハナバチミドリイシの試験切除を実施した。残るサンゴは計測帯を付けて定期的に写真撮影するなどして観察を続けている。
1カ月後の2月末の調査で、切除サンゴの生存を確認。調査開始から2カ月が経過した時点での病変部の進行速度も測定できたという。入川さんは「進行速度については、場所や時期によってもだいぶ幅がある。今後それをはっきりさせるために、調査を続けていきたい」と話している。
垣花会長は「次の世代にサンゴを残すため、本島周辺のサンゴの供給源となる慶良間のサンゴを守りたい」と強調。調査研究機関などにも協力を求めていく考えだ。
WSDを名付けた「オーストラリア海洋科学研究所(通称AIMS)」のウェブサイトによると、世界最大のさんご礁グレートバリアリーフでは、1999年からWSDの発生が確認されている。(新垣梨沙)
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