那覇防衛施設局は米軍普天間飛行場の移設先である名護市キャンプ・シュワブ沿岸部の環境現況調査(事前調査)を実施するため、公共用財産使用協議書を県に提出した。
県は約1カ月の審査を経て、海域使用に同意する見通しである。
政府案による移設に向けた作業がまた一歩前進したといえよう。国ペースで作業が推し進められているが、それでいいのだろうか。
普天間飛行場代替施設建設に必要な環境影響評価(アセスメント)の手続きは県と名護市の拒否姿勢によって、膠着(こうちゃく)状態が続いている。
協議書提出は移設海域のサンゴ類やジュゴンの生態調査に使う機器を海底に設置するためのものである。アセスとの関連は明らかである。
環境省によると、事前調査であっても法律上はその後のアセス方法書の要件を満たした結果は次の段階の準備書に盛り込める。防衛省が事前調査の結果を、その後のアセス手続きに反映させることは間違いないだろう。
実際、防衛省は「サンゴや動植物などについても事前調査として実施し、後のアセス手続きに反映させることは可能だ」との見解を示している。
国は事前調査という形で、実質的にアセス着手にこぎ着けることになる。
代替施設建設を急ぐ国は既に建設予定地のキャンプ・シュワブ内の文化財調査や現有建物等調査、環境予備調査などを次々と実施している。
昨年末からは、兵舎が移築される土地の基盤構造を調べるボーリング調査にも着手している。
地元との合意を抜きにして、国は着々とV字形案による作業を推し進めている実態がある。
県はアセス方法書の受け取りには難色を示している。方法書の送付を強行すれば、行政訴訟を提起されることも覚悟し、審査を行わない考えのあることを防衛省に伝えてもいる。
しかし、県は政府案の実現に向けた事前調査については、具体的な移設計画が示されていないことなどを理由に受理している。
事前調査はアセスに基づくものではないものの、関連はある。調査終了後はアセスに盛り込まれる可能性が極めて高い。
国のペースに乗ってしまった懸念がある。市民団体からは「基地建設を前提に事前調査をするのは、アセス法を無視する行為」との指摘もある。
県、名護市と国のV字形案をめぐる対立は続いている。そのような状況で、国は移設に向けた作業を急ぐべきではない。
地元との合意をまず優先させるべきだ。
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