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こどもの日・地域ぐるみで教育を 見つけ伸ばそう「いいところ」2007年5月5日 
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 きょう5月5日はこどもの日。高齢化と過疎化の進んだ離島では「子は社会の宝」という言葉が実感できる。地域の中心は学校である。だが児童・生徒の減少が続き島の人たちの悩みは深い。子どもがいなくなれば学校は存続しないからだ。そして延長線上にあるのは、地域社会の崩壊の危機である。
 だから、大人たちにとっては子どもが何より大切なのだ。うちの子、よその子分け隔てなく、地域で包み込む。島の人たちの、子どもを見詰める目は無償の愛情に満ちている。伸び伸びと育つ子どもたち。その姿を、大人たちは目を細めながら見守る。子どもの減少という問題を除き、育つ環境という観点から見れば理想的と言えるかもしれない。

■悪化するばかりの環境
 しかし、現代の多くの子どもたちの環境は恵まれているとは言い難い。命さえ危機的な状況にある子どもたちもいる。最も信頼する親から受ける虐待、欲望を満たすために幼児を狙った悪質な犯罪、そして子ども同士の関係の中に起きる陰湿ないじめに遭う子どもたちも多いからである。
 犯罪に遭う子どもたちは後を絶たず、親たちは不安を募らせている。内閣府が2006年6月から7月にかけて行った「子どもの防犯に関する特別世論調査」では、子どもが犯罪被害に遭う不安は「よくある」25.9%、「時々ある」48.2%を合わせて74.1%にも上った。子どもを取り巻く環境がいかに悪化しているかが分かる。
 県のまとめによると児童虐待の相談件数は右肩上がりで増えており、2005年度には451件の相談があった。
 熊本県の民間病院には「赤ちゃんポスト」(こうのとりのゆりかご)が設置され、今月半ばから運用開始されることになっている。子捨てを助長するという批判も強く、全国の注目を浴びた。現状を見ると、赤ちゃんの命を救う緊急避難的な措置として、設置はやむを得ないだろう。
 決して好ましい救済策とは思えない。しかし、思い詰めた親が、子どもを傷つけるなど最悪の行為に追い込まれる前に何とか子どもを救ってあげたい。
 預けられた子どものフォローも重要である。子育てを放棄された子どもが、その事実を知ったとき、心に深い傷を受けるだろう。命を預かるからには、成長の過程にも配慮すべきである。
 子どもは未知の可能性を秘めている。才能を見つけ、開花させるためには大人が果たす役割は大きい。芽を大切に育てるのも、つぶすのも周囲の大人の行動にかかっているのだ。

■未来担う子どもたち
 5日から始まった児童福祉週間の本年度の標語は「見つけようみんながもってるいいところ」。この標語は与那原小学校の松堂一成君の作品である。「ニュースでいじめの話とか聞いて、友達のいいところを認めたい、認めてほしい」という気持ちを込めたという。
 これは大人に向けられた訴えともいえるだろう。もし大人同士の会話で、他人のあら探しばかりしていると、その姿を日常的に見て育った子どもは、どのように育つだろう。他人に対する視線、評価は思いやりに欠けた冷たく厳しいものになるのではないだろうか。
 松堂君が「いいところを認めたい」と、思いやりを示し得たのは、ご両親の常日ごろの教えが生きたのだと思う。
 あら探しは、その対象者の心を傷つける。誰でも光る才能を持っているはずだが、それをも覆い尽くし、伸びようとする前向きのエネルギーをそぎ取ってしまうに違いない。
 子どもたちが今も、これからも輝いていられるように、大人が環境を整えてあげたい。
 格差社会の中で、大人たちも厳しい現実に直面している。心身ともに余裕がないと言われれば、それも理解できる。しかし、子どもたちのために、ここで踏ん張りたい。
 大多数の「標準」に安心を求めず、一人一人の違いを個性として認めたい。しっかり見詰めてあげれば、秘められた才能に気付くはずである。あら探しではなく、才能を見つけ、さらに伸ばしてあげたい。
 行政の努力も不可欠である。子育て支援策の充実、地域ぐるみで教育ができるように導く施策を求めたい。
 未来を担う子どもたちのために。


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