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2007年5月6日

 山之口貘が放浪生活をしていたころ、肌身離さず持っていたのは文豪・佐藤春夫の名刺だった。官憲の尋問よけのためだ。それにはこう書いてあった。「詩人山之口バクハ性温良、目下窮乏ナルモ善良ナル市民也」
▼その春夫が友人谷崎潤一郎の妻千代をめぐり、谷崎と一時絶交したのは有名な話だ。夫に虐げられる千代への同情が愛情に発展、千代と春夫の再婚が一時、三者の間でまとまるが、谷崎が一方的に約束を破った。絶望のふちで恋慕の情を歌った春夫の『殉情詩集』は一世を風靡(ふうび)した
▼9年後ようやく谷崎と離婚した千代と春夫は再婚する。貘が春夫の推薦も得て詩を発表したのはそのころ
▼春夫は貘が世に出るのを助けただけでなく、金銭の面倒もみた。この年若い詩人の性格を愛したことは、貘をモデルにした小説『放浪三昧』で「卑屈なおべっかなどのない品位」と描いたことでも分かる
▼貘の処女詩集『思弁の苑』にも序詩を寄せた。「家はもたぬが正直で愛するに足る青年だ(中略)誰か女房になってやるやつはいないか/誰か詩集を出してやる人はいないか」
▼平明で率直な詩心は2人に共通する。貘の死の翌年、春夫も世を去るが、交友は終生続いた。きょうは春夫忌。


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