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明暗分ける病院の対応2007年5月10日 
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 「裁判に参加するにはどうすればいいですか」。こんな電話が寄せられた。裁判とは製薬会社と国に賠償を求め、全国で係争中の薬害肝炎訴訟のこと。「もしや私も薬害では」。疑問を抱く女性に同訴訟の弁護士を紹介した。
 C型肝炎の感染原因の1つ、血液製剤フィブリノゲン。潜在的患者は200万人ともいわれるが、補償や救済の制度はない。救済手段は訴訟に限られるが、それには投与事実を示すカルテや医療側の証言が不可欠。無ければ訴訟自体が難しく、唯一の救済手段も閉ざされる。
 女性はかつて止血の際に製剤を使用された。カルテは破棄されていたが、当時の主治医が使用を証言。訴訟への道が開けた。
 2004年、県内の59医療機関にも製剤が納品されたことが国の公表で分かっている。だが、県内で追跡調査したのは私立総合と産婦人科医院の計11施設だけ。「カルテが膨大で確認は困難」などの理由で追跡調査を実施しない病院が多数で、病院の調査によって訴訟に加われた被害者はまれだ。
 製薬会社と国が問題の源流だが、病院の対応、意識の差で被害者の明暗が分かれる現実にもやるせない気持ちになる。
 医師の証言を得た年末。居酒屋で女性と弁護士の3人でささやかに飲んだ。女性は肝炎による健康面などの不安から、死別した夫と長年営んだ店を畳んだばかり。訴訟への道筋は見えたが、健康や生活への不安は消えるわけでもない。「なぜこんな目に遭うのでしょうか」とつぶやく女性。グラスの酒がほろ苦かった。
(島袋 貞治、社会部)


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