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高齢者虐待・社会全体の支えが必要だ2007年5月11日 
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 高齢者への虐待の実態が、初めて明らかになった。県の調べでは、昨年4月からの1年間で、65歳以上の高齢者に虐待があったと県内市町村の窓口に報告された人数は105人に上った。うち過半数の55人が認知症だった。また、高齢者の中には、病気の治療さえ受けられずに死亡した事例もあった。
 昨年4月に施行された高齢者虐待防止法に基づき、県は市町村から虐待の数や種類などを調査。それによると、虐待を受けた高齢者は男性23人、女性82人で、年齢は70歳以上から極端に増え、99歳まで広範にわたる。
 養護者による虐待(102件)を種類別に見ると、暴行などの身体的虐待が65人で最も多い。以下、心を傷つける言動などの心理的虐待が46人、財産が不当に奪われるなどの経済面的虐待が29人などとなっている。
 虐待の背景には「介護疲れ」があるとされる。一人で介護を背負い込まされ、追い込まれた結果だとすれば、悲痛としか言いようがない。許されることではないが、本人の罪を問うだけでは、抜本的な改善策にはならないだろう。
 この際「長男(長女)が面倒を見るべき」「配偶者が見るべき」といった「べき」という考え方は改めたらどうだろう。兄弟、親類、地域。皆で見守るといった意識の改革が急務だ。介護保険制度の積極的な活用も必要。行政ももっと制度のPRに努めてほしい。
 また、虐待が都市部に多く、地域では少ないことも、今回の調査で分かった特徴だ。農村部ではそれだけ人間関係がまだ健全ということだろう。逆に都市部では希薄ということになり、気掛かりだ。
 少子・高齢化社会を迎え、このようなケースは今後、さらに増えよう。深刻なのは関係者によると、今回の数字は「氷山の一角」にすぎないということだ。家族のために懸命に働き、子育てを終え、老後になってこんな仕打ちが待っていようとは、やるせない。
 皆、いずれは年を取る。明日はわが身、という思いを国民一人一人が共有し、現実を見つめない限り、問題の解決は望めない。


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