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改正少年法・厳罰化だけではない対策も2007年5月26日 
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 少年院送致の年齢下限を現行の14歳以上から「おおむね12歳以上」に引き下げる、などの内容を盛り込んだ改正少年法が25日、自民・公明の与党などの賛成多数で成立した。一読して感じるのは、少年犯罪に対する厳罰化である。
 少年犯罪の凶悪化や低年齢化が改正の背景にはあるが、だからといって、厳罰化が問題の解決に結び付くとは思えない。なぜ、子どもたちの行動が凶悪化し低年齢化が進むのか。社会的な背景が今回の改正過程で十分に論議されたのか。残念ながら、答えはノーだ。
 少年法の精神は「保護主義」にある。過ちを犯した少年たちをしかるべく機関で教育し更生させ、そして社会に送り返す、という考え方だ。凶悪化、低年齢化が進んでいるとはいえ、少年犯罪に関してはやはり、厳罰化ではなく教育・更生に、根本的な対処策を見いだすことを第一に考えるべきだ。
 少年事犯に対する警察の調査権限を大幅に拡充しているのも、改正法の大きな特徴だ。14歳未満で法令に触れる行為をした、刑事責任を問えない「触法少年」について、警察に強制調査権を与えている。これまでは補導しても任意の事情聴取しかできなかった少年に対し、家宅捜索や押収などが可能となるのだ。
 さらに、警察官が触法少年の疑いがある者を発見した場合の任意調査権を明文化し、本人や保護者を呼び出して質問できる権限も明記した。
 しかし、大人でさえ取調室での過酷な尋問に耐えきれず、冤罪(えんざい)に至る例はまれではない。ましてや、心身ともに発達段階にある少年が、このような状況下で、果たしてどれほど冷静に受け答えができるだろうか。大いに疑問である。日弁連は少年からの事情聴取の場面をDVDに録画し、後で検証できるよう求めている。疑惑を持たれないためにも第三者の立ち会いを含めて検討すべきだ。
 2004年に浦添市で発生した連続放火事件をめぐり、13歳の少年が補導され家裁送致されたが、那覇家裁は「少年は警察の調べに迎合しており、警察調書は信用できない」として刑事事件で無罪に当たる不処分決定をしている。その後、少年側が賠償を求めて民事訴訟を起こしているが、ここでも捜査を目的とした警察の違法な一時保護の問題が指摘されている。
 少年の犯罪は、大人社会のゆがんだ構造がその背景にあるのは容易に想像できる。そこに目を向けず、厳罰化で解決しようというのは無理がある。小学生まで少年院に送ってしまう厳罰化ではなく、警察、法務省、支援施設に加え、家庭、学校、地域が一体となって、少年が更生できるような総合的な対策、取り組みが必要だ。


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