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ヘリ墜落捜査終結・「治外法権」こそ終止符を2007年5月28日 
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 宜野湾市の沖縄国際大学構内に2004年夏、米海兵隊の大型輸送ヘリコプターが墜落炎上した事故で、県警が被疑者不詳のまま書類送検する方向で最終調整していることが分かった。米側が日米地位協定を盾に捜査協力を拒み続けたことが大きいが、責任の所在を明らかにできないまま捜査が幕引きになれば、県民にとって屈辱以外の何物でもないだろう。
 米国に対し、占領下の治外法権のような状態をいつまでも許す日本は主権国家だと胸を張れまい。地位協定の「運用の改善」が非常にあいまいで、限界があることは繰り返し指摘してきた。もう待てない。日本政府が県民の生命と財産を守る基本に立つなら、屈辱的な状態にこそ終止符を打つべきである。
 それにしても不可解だ。ヘリ墜落の現場写真もあるし、搭乗していた海兵隊員3人が重軽傷を負ったことも分かっている。事故原因を特定する米側の報告書も日米合同委員会に出された。それなのに肝心の事故機の整備士、操縦士らが分かっていない。墜落したのは米軍ヘリではなかった―とでも言うのだろうか。
 米国は2001年の同時多発テロで、ニューヨークの超高層ビルやワシントンの国防総省などに国籍不明の航空機が突っ込んだ際、国の威信にかけて捜査し、被疑者を特定、公表した。至極当然の行為だ。ところが、その当然の行為を沖縄では認めないという。他国の罪は徹底して裁き、自国の罪はうやむやにする。そんな勝手が許されていいのか。それを容認する日本政府の姿勢も問われよう。
 日本政府の腰が引ける理由に、地位協定の存在がある。日米安保条約に基づき1960年に発効した協定で、23条で「日米両国は在日米軍の財産の安全を確保するため必要な措置を取ることについて協力する」と規定。協定実施に伴う刑事特別法では「米軍財産の捜索、差し押さえ、検証は米軍の同意を得て行う」としている。
 沖国大でのヘリ墜落事故は、まさにこれが適用された。検証令状を取り同意を求めた県警に対し、米側は拒否、事故機は県警を交えずに検証が行われた。協定の運用改善で導入された米側の「好意的考慮」などあってなきに等しく、期待できない証しであろう。
 状況は厳しい。事故から3年近く経て、航空危険行為処罰法違反の時効日が迫っている。米側に協力する考えはないようだ。
 しかし、米軍の財産の安全は確保しても、県民のそれは確保しないというのはおかしい。ここは日本であり、沖縄である。治外法権は筋違いであり、それがまかり通るようでは困る。地位協定の改定は県民の譲れない要求だ。


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