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「撤回」要求決議 県民は軍命削除を許さない2007年6月29日  このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録

 来年度から使用される高校歴史教科書検定で、沖縄戦の「集団自決」への日本軍の強制に関する記述が修正・削除された問題で28日、嘉手納町議会と国頭村議会が「検定意見の撤回」を求める意見書を全会一致で可決した。これで県内41全市町村で撤回決議が可決された。
 先の県議会の撤回決議も含め、「検定意見の撤回」要求が、名実ともに「県民総意」となった。
 意見書で嘉手納町議会は「集団自決が、日本軍の関与なしに起こり得なかったことは紛れもない周知の事実」と指摘し、国頭村議会は「体験者による数多くの証言や、歴史的事実を否定しようとするもの」と批判している。県、他市町村の意見書も同様の趣旨だ。
 広大な米軍嘉手納基地を抱える嘉手納町は、基地被害にも触れ、戦後世代が増え、戦争体験者の減少が進む中で沖縄戦の実相を伝えることの大切さを指摘している。民を苦しめる「軍隊」の問題は、日米の国の違いはあれ、沖縄ではいまも続く「歴史」である。
 沖縄戦を直接体験した歴史の証言者が沖縄にはまだまだ健在だ。一部の研究者や官僚たちが「軍命があったとの明確な証拠はない」と言い張っても、「集団自決」で肉親を失った体験者たちの口は封じられない。
 賛成多数の読谷村を除く40市町村議会が、全会一致での「撤回」要求の可決だ。全議会の決議を、国は重く受け止めるべきだ。
 文科省は県の仲村守和教育長の撤回要請に、「集団自決で日本軍が関与したと思う」(布村幸彦審議官)と認めている。だが、検定意見の撤回には「政治家は口出しすべきではない」(伊吹文明文科相)として、応じる気配がない。
 文科相には教科書検定意見に対する「正誤訂正の勧告権」があると研究者は指摘している。政治の介入で改ざんされた教科書は、「正確な史実」によって是正されるべきである。だが、史実を突きつけ、史実を認めさせても、なお是正を拒む政治がそこにある。
 いまなぜ歴史教科書から「軍命」を削除しなければならないのか。ここ数年、国民保護法などの有事法制が整備されている。防衛庁の省昇格、集団的自衛権の行使に関する有識者懇の発足、米軍と自衛隊の融合を進める米軍再編特措法、憲法改正を狙う国民投票法の成立と続く。
 一連の政府の動き、政治の流れに「新たな戦争準備」を警戒する声もある。その動き、流れの中に、教科書検定問題がないか。
 悲惨な戦争を二度と日本が繰り返さないためにも、議会決議を県民運動に広げ、政府が歴史の史実を正しく後世に伝えるよう、強く求め続けたい。


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