米軍が1961―62年に米軍北部訓練場などで猛毒のダイオキシンを含む枯れ葉剤を散布していたことが判明した。作業に携わった元米兵が後遺症などの補償を求めた審判をめぐる退役軍人省の公文書に記されている。
ダイオキシンは自然分解がされにくく、汚染は長期間続くと指摘される。ゆゆしき事態だ。
何よりも県民の「水がめ」に近い場所だ。しかも汚染が広範囲に及んでいる可能性がある。政府や県は詳細に事実を掌握するとともに、現地調査を含め早急に事実解明に乗り出す必要がある。
枯れ葉剤の散布が明らかになった退役軍人省不服審判委員会の決定文によると、元米兵は61年2月から62年4月まで輸送兵として沖縄に赴任。枯れ葉剤が入ったドラム缶の輸送やドラム缶に枯れ葉剤を注入する作業に従事したほか、雑草除去のために枯れ葉剤を散布したというのだ。
散布された場所は、北部訓練場内とその周辺の道路脇などで「2カ月以上にわたり枯れ葉剤を浴びた」と証言している。
相当量の枯れ葉剤がまかれた恐れが強い。今回因果関係が認められた元米兵以外にも数10人の退役軍人が、ベトナム戦争時に沖縄で枯れ葉剤にかかわったことを理由にがんなどを患ったとして補償を求めていることからも、大量散布の疑いは消えない。
ベトナム戦争中に展開された枯れ葉剤作戦に関する悲劇や悲惨さなどは、テレビ報道、映画などを通してよく知られている。散布地域ではがんや先天性異常児、死産などが多発。前立腺がんになったとの元米兵の主張に対し、同省も証言内容や証拠などから「矛盾がなく正当」と認定した。
北部の森林地帯には貴重な生物種や植物などが生息・分布している。自然環境への影響はないのか。ダムの水は大丈夫だろうか。看過できない問題だ。
北部訓練場を抱える東村の伊集盛久村長は「まず事実関係をはっきりさせてもらいたい。その上で、村民を対象とした健康診断の実施を国に求めたい」と語る。懸念は当然である。
最近嘉手納基地で起きたジェット燃料漏れ事故で米軍は、県による汚染土壌の採取や現場撮影を頑強に拒んだ。今回も恐らく情報開示や調査要請に対し、非協力な姿勢で臨むであろうことは想像に難くない。
だが事は県民の健康、安全にかかわる極めて重大な問題だ。米国の公的機関が認めている。散布の事実はなかったでは済まされない。枯れ葉剤を使用した場所や使用量などについて、一刻も早く事実関係を包み隠さず明らかにする責任がある。
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