米軍再編推進法の施行令が15日、閣議決定され、29日施行が決まった。米軍再編に伴う政府施策への協力の度合いに応じて自治体への交付金を増減する「アメとムチ法」と呼ばれる同法の本質が、施行令でより鮮明になった。再編に絡む米軍基地を抱える県や名護市など当該自治体は、いよいよ正念場だ。
問題はすでに普天間移設問題で顕在化している。政府案に異議を唱える県や名護市を無視し、政府は代替基地建設に必要な辺野古沖での環境影響評価方法書の公告縦覧を強行している。
そこに米軍再編推進法の施行である。「非協力的な自治体には再編交付金は出せない」(防衛省首脳)と、政府は早くも同法に基づく「ムチ」をちらつかせている。
名護市の島袋吉和市長は「とんでもないことだ。(交付金で)縛ろうとしている」と反発している。
同法に基づく再編交付金は、施設面積や建物・工作物、艦船・航空機の数など再編に基づく「変化」に応じて支給される。
支給額の判断基準は「住民生活に及ぼす影響の程度」とされている。その点からすると、交付金はいわば「迷惑料」である。
「産廃、原発、基地」が3大迷惑施設といわれる。受け入れ自治体には迷惑料となる交付金や特別振興策が支給・実施される。
県内でも基地交付金、基地周辺対策事業など、毎年300億円近い「基地迷惑料」が交付されている。これに島田懇事業、北部振興策(総額1千億円)が別枠で加わる。
だが、基地絡みの交付金や振興策は、必ずしも地域振興につながっていない。
名護市では、この10年間に500億円を超す基地関連の特別振興策が投入・実施されたが、10年前に比べ失業率は8・7%から12・5%に、市債残高は171億円から235億円に増え、法人税収は1千万円減の4億3千万円に後退している。借金(市債残高)は基地振興策の自己負担分(裏負担)が押し上げたものだ。
失業率は高まり、借金は増え、自立に必要な収入が減る。さらに新たな振興策が必要となり、基地依存度が高まる。悪循環に見える。
米軍再編法の施行で、政府はムチを恐れアメ(交付金)欲しさに基地を受け入れる自治体が増えると期待しているようだが、そう甘くはない。
新たな危険や負担増と引き換えにもらう予算や振興策というアメの怖さ、逆に自立を阻む基地振興策の矛盾に気付いた自治体は、「アメとムチ法」を前に、脱基地、反基地の動きを強めるだろう。
頭越しの基地押し付けは百害あって一利なしである。政府には、どう喝型政治からの脱却と対話重視の民主政治への回帰を求めたい。
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