原則は原則だ。恣意(しい)的で説得力を欠いた理由を安易に持ち出してくる姿勢は、いい加減にしてほしい。危険性の高い訓練など到底認めるわけにはいかない。
米軍が19日午後に嘉手納飛行場でパラシュート降下訓練を実施すると通告してきた。
嘉手納飛行場では今年1月末にも県や地元自治体の反対を押し切って、8年ぶりに降下訓練が実施された。
外務省・防衛省によると、今回の訓練目的は「人命救助のための態勢維持」で、救難隊隊員約10人が降下する予定だ。
降下訓練では過去、何度も降下ミスなどの事故が起きている。人命救助を目的とする訓練で嘉手納基地周辺に住む住民の生活が脅かされ、危険にさらされる。間尺に合わない矛盾した話だ。
伊江島での訓練は、天候面での悪条件により制約が多く、過去半年間訓練が思うように実施できずに「訓練所要を満たさない兵士が多数生じている」というのが米軍側の説明である。1月末の訓練も同じ理由だった。
パラシュート降下訓練については、1996年のSACO(日米特別行動委員会)最終報告で、読谷補助飛行場から伊江島補助飛行場への移転が決まった。
ただ問題なのは、日米合同委員会で「基本的に伊江島飛行場を使用することとし、嘉手納飛行場はあくまでも例外的な場合に限る」と確認したことだ。
米軍の場合、「基本的」と「例外的」の線引きが緩く、原則はあってなきがごとしだ。県民の常識とはあまりにも懸け離れすぎている実態を、これまでさんざん見せつけられてきた。
嘉手納基地での8年ぶりの降下訓練の際にも私たちは「例外を認めれば、基地や訓練を自らの都合に合わせて拡大解釈しつつ、使い勝手の良い『便法』として、後々まで利用することになる」と批判した。
案の定である。県民の意向をないがしろにして、1年もたたないうちに一方的に押し付けようとしている。
SACO合意は、国と国との約束ではないか。約束は何のために交わされるのか。原則は不断に守られ、尊重されることで意味を持つ。政府には、そのことを米側に強く申し立てる責務がある。
訓練の通告を実施の前日に行うやり方も問題だ。県や地元の抗議を最小限に封じ込め、訓練を強行したい狙いだろうが、横暴すぎる。地元への配慮はみじんも感じられない。
これ以上の「危険の拡散」は許されない。政府は、県民無視の訓練をやめさせるよう米側に強く働き掛けるべきだ。
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