在日米軍再編合意に基づき、米軍普天間飛行場代替施設が建設される名護市辺野古沿岸部の環境影響評価(アセスメント)で、沖縄防衛局が環境アセス方法書に対する住民意見の概要書を県に提出した。
代替施設のV字形滑走路を可能な限り沖合に寄せるよう求める県、名護市に対し、防衛省は「日米で合意した案を着実に進める」との見解を繰り返しており、修正の可能性を否定し続けている。
この間、政府は、県や名護市の了承も得ないままに、環境アセス方法書の公告・縦覧、そして今回の住民意見概要書提出と着々と手続きを進めてきた。
何が何でも現行の政府案で押し切ろうとする姿勢は独断専行そのものであり、県民無視も甚だしい。
アセス方法書の受け取りを保留してきた仲井真弘多知事は23日の記者会見で「これ以上、受け取りを保留し、知事意見を述べないことは異議なしととらえられる。受け取らざるを得ない」と表明するとともに、「地元の意向が無視されている」と強い調子で政府を批判した。
知事は環境アセス方法書に対する知事意見の中で、環境保全の見地から、現行政府案に反対する姿勢を明確に打ち出すべきである。
それにしても理解し難いのは、県や名護市と話し合おうともせずに、米国と合意した移設案をごり押しする政府の態度だ。
米国の顔色だけを気にして、肝心の国民をないがしろにしているとしか言いようがない。
当初、政府内には「譲歩すれば沖縄は増長する」「受け入れないと振興策がなくなると分かれば沖縄は折れるだろう」と高をくくる見方もあったようだ。
この間、足元を見られるような要素が沖縄側にあったとすれば、残念なことである。
仲井真知事は昨年11月の県知事選で「現行のV字形案のままでは賛成できない」と訴えて当選した。政府案を丸のみしたのでは公約違反との批判を免れない。政府に対し最後まで毅然(きぜん)とした態度で臨んでもらいたい。
沖縄は、去る大戦で住民を巻き込んだ悲惨な地上戦が繰り広げられ、戦後は住民の意思に反し広大な土地が米軍基地として強制的に接収された。
現在も、全国の米軍専用施設面積の4分の3が集中し、県民は基地から派生する事件・事故、騒音被害などに脅かされている。
在日米軍再編が基地負担軽減につながる可能性があると期待されたが、日米合意の中身は普天間飛行場の県内移設を大前提としており、期待外れに終わった。
政府は、沖縄の苦渋の歴史を十分に踏まえ、基地負担の軽減に本腰を入れて取り組むべきだ。
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