新テロ対策特別措置法に基づく日米両政府の交換公文に、海上自衛隊による提供燃料の「使途検証」が明記されないことが分かった。米側は「目的外使用の禁止」の明示を拒否してきたが、使途検証もはねつけたことで、日本が今後提供する燃料は、新法の目的に反し、テロリスト海上阻止活動以外に転用される可能性が出てきた。
指摘されてきたイラク戦争などへの転用疑惑も、一段と深まるのは間違いない。57年ぶりの衆院再議決をしてまで対テロ新法成立に固執した日本政府は、国民に対し、事態を説明すべきだ。
昨年失効したテロ対策特措法に代わる対テロ新法は、海自の活動をインド洋などでの給油・給水に限定している。活動を限定したことで、旧法にあった「国会承認条項」は削除された。
活動限定明記の背景には、イラク開戦直前に海自の補給艦が米補給艦を通じて米空母に給油した燃料がイラクでの軍事行動に転用されたとの疑惑が浮上し、憲法に抵触する恐れを指摘されたことがある。日米政府はともに否定したが、米側は「使途特定は困難」とも指摘。給油量が日本政府発表の約4倍に上ることも判明し、疑惑を払いきれないでいた。
こうした状況を踏まえ、日本側は対テロ新法案をめぐる米側との調整で、新法の目的を明記するよう要請した。しかし、米側は目的外使用の禁止が明示されていなかった旧法に基づく交換公文と同じ文言を主張し続けた。
日本側はその後、使途の検証ができるよう「日米両政府は法律の目的に合致することを担保するため、必要な調整を行う」との表現を盛り込むよう求めたが、これも米側は「作戦行動に影響し、現場の負担になる」として拒否。日本側が譲らなければ、海自の給油を受けないこともやむを得ないと牽制(けんせい)してきた。
米側の“逆ギレ”もいいところだ。それほどまで言われ、頭を下げ続ける日本もどうかしている。そもそも新法で活動を限定しているのだから、それが担保されないに等しい状況はおかしい。これでは米国への「忠義立て法」と言われても仕方がない。
本紙加盟の共同通信社が今月中旬に実施した全国電話世論調査によれば、対テロ新法を参院で否決後、衆院再議決で成立させたことには「適切ではなかった」との答えが「適切だった」を上回っている。米側の顔色をうかがい過ぎるあまり、国民の空気を読めなかったとしたら問題だ。
憲法は「戦力不保持」をうたっている。提供燃料について転用防止の厳格化が図れないなら、給油を止めるほかない。国会承認条項も復活させるしかないだろう。
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