サンフランシスコ連邦地裁は24日(現地時間)、米国防総省が普天間飛行場代替施設建設でジュゴンへの影響などを評価、検討していないことが米文化財保護法(NHPA)違反に当たると判断した。さらに同省として公的な環境への影響調査を実施するよう求めた。自然環境保護を重視した冷静・的確な判断だと評価したい。
ジュゴン保護訴訟は、2003年に日本環境法律家連盟(名古屋市)、ジュゴンネットワーク沖縄(宜野湾市)、生物多様性センター(米アリゾナ州)などに加え、沖縄周辺海域を生息の北限とするジュゴンが原告となって起こされた。
米政府は(1)NHPAの適用対象は建造物などでジュゴンのような生物は対象になりえない(2)もし仮に適用対象になるとしても米政府は建設にかかわっていないのだから適用されない―の2点を挙げ反論していた。
日本の天然記念物に指定されているジュゴンはいま、絶滅の瀬戸際にある。07年8月、環境省は国内の生息個体数が50頭以下であるとして、絶滅の恐れのある野生生物を分類したレッドリストに新たに追加し、絶滅危惧(きぐ)種として最もランクが高いIAに分類した。
04年には、タイのバンコクで開かれた世界自然保護会議で、普天間移設をめぐるジュゴンなどの希少野生生物保護を勧告した。
これほど国際的にも注目されているのに、日本政府には保護への真剣さが感じられない。国が提出した環境影響評価(アセスメント)方法書には、移設最優先の姿勢が如実に表れている。当初提出された薄っぺらな方法書に批判が強まると、知事意見提出期限間際になって150ページもの追加資料を提出してきた。
一方の県もはっきりしない姿勢だ。今月21日に沖縄防衛局に提出された知事意見は、事前調査の中止には踏み込まなかった。県環境影響評価審査会の答申を尊重し、生物への影響を重視するならば中止を求めるべきであった。
判決には、代替施設建設を差し止める強制力はない。しかし、訴訟原告団の米自然保護団体「アースジャスティス」のサラ・バート氏は「国防総省に対して海外での活動による他国の文化遺産の損壊回避に、慎重に注意を払う責任を明確にした」と意義を強調した。
判決は、同省に対してジュゴンへの影響などを示す文書を90日以内に提出するよう求めている。建設を進めるなら、連邦地裁の要求に応えなければならないはずだ。
アセスを拙速に進めれば、日本政府も国際的な批判を浴びることは必至だ。沖縄の一地域の環境問題ではないことが、今回の判決でさらに明確になった。
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