米軍普天間飛行場代替施設の環境影響評価(アセスメント)に関し、防衛省は冬季分の調査を今冬に行うことを断念した。代替施設完成に間に合わせるため、冬季分の調査を12月まで先延ばしすることは避けたい意向。環境現況調査(事前調査)や既存データの活用で冬季分の調査に代替できないか今後、県と調整する方針だ。しかし県は、事前調査を含め、知事意見にそぐわない方法で実施された調査の結果をアセス準備書に反映することには難色を示す。防衛省のやり方次第では、県や県環境影響評価審査会から厳しい意見が出るのは必至。再び県との関係悪化を招くことも考えられ、今後の移設作業にも影響しそうだ。
「冬季分の調査の先延ばしは現時点で考えていない。今後どうするかは県と相談しながら決める」。冬季分の調査が今冬にはできなくなることが判明した26日。防衛省の複数の幹部は「県との信頼関係が大事だ」としながらも、今後の移設作業の工程が遅れることに懸念を示した。
■「1日も早く」
防衛省は本調査の開始や準備書を県に提出する時期について「県の理解、協力を得ながら1日も早く」(防衛省幹部)と明言を避ける。だが現時点でも8月にアセスの準備書を県に提出する考えは変えていない。
防衛省は昨年12月、事前調査の調査項目を増やすことを県に打診した。本来、アセスの本調査で行う内容を事前調査で実施し、進行を早める思惑があった。だが県はアセス手続きを踏まえない新たな調査は「認められない」(県幹部)と防衛省の要望を退けていた。
ただ、防衛省は事前調査を始める昨年5月の段階で知事の許可を得ていた調査や、知事の許可を必要としない調査は現在も継続して行っている。
冬季の事前調査の内容を本調査に代替できるかどうかについて防衛省のある幹部は「できるものもあればできないものもある」とする。事前調査の結果以外にも、環境省や研究機関などが過去に実施した調査のデータも活用し、冬季分の調査に充てたい考えだ。
■認識の差
冬季分の調査に関し、防衛省幹部は「1日、2日で終わるものもあれば1カ月必要なものもある」と説明。もし県が2月中に許可を出せば数日で終える調査に関しては月内にも行う意向だった。
別の防衛省幹部は「例えだ」とした上で「2月を過ぎても調査項目によっては水温など冬の条件と同じ日があれば調査はできるかもしれない。いろいろな可能性は検討できる」と先延ばしをしない方向での解決策の模索にこだわる。
一方、県は、あくまでも本調査と事前調査などは別物という認識だ。県環境政策課の下地寛課長は「知事意見を踏まえ、調査地点数の追加や調査手法の修正がなされたかどうかが重要だ」と指摘。知事意見では、ジュゴンなど複数年の調査の必要性をはじめ調査地点の増加や調査手法の修正など多くの要求があった。
下地課長はサンゴや藻場の調査を例に挙げ、環境現況調査の地点数では足りない場合、追加的な調査が実施されても、これらの調査時期が異なれば「一般的にはちゃんとした予測・評価ができないと判断される」と“筋論”を強調。「だからこそ調査手法などが決まってから調査をするよう県は求めている」としており、防衛省との認識の差は大きい。(宮城久緒)
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