男性の平均寿命26位転落で、「長寿の島」の看板を下ろしかねない深刻な事態に陥った沖縄県とは対照的に、長寿県に上り詰めたのが長野県だ。2000年都道府県別生命表で、長野県男性の平均寿命が1位、女性は3位。30年余にわたる取り組みが、県民の平均寿命を押し上げた。
長野県はもともと脳血管疾患の死亡率が全国でも高い地域で、1965年の脳血管疾患死亡率は全国1位だった。
「40代が、脳卒中でバタバタと倒れていくというイメージがあった。県民皆で何とかしなければならない。このままだと県の活力が低下してしまう」
長野県の長寿対策に携わる県保健予防課課長補佐の宮田美恵子さんは働き盛り世代が早世する県民の姿を思い起こす。
脳卒中対策を見いだすため県は67年、県内約1000世帯を対象とした「成人病に関する食生活実態調査」を始めた。
各家庭の食卓をじかに調べるという粘り強い取り組みから、「高血圧の多い家庭は、確実に食事の塩分濃度が高い」という事実が分かった。濃い口のみそ汁や塩魚、1日に何度も食卓に上る野沢菜の塩漬けが、県民の過剰な塩分摂取量につながっていた。
この調査結果を踏まえ、県は「県民減塩運動」(81年-83年)、「食卓愛"の運動」(84年-96年)という施策を展開。これらが奏功し、90年に男性の平均寿命が78・08歳で全国1位、女性は82・71歳で4位に躍進した。
県民減塩運動では、「みそ業界から『信州味噌をつぶす気か』という批判を受けた」(宮田さん)という行政と民間のあつれきも生んだが、そこから「減塩味噌」という新商品も生まれた。
長野県は「ピンピンコロリの里」と呼ばれている。「ピンピンコロリ」とは、「できる限り元気で生きて、長患いをせずに死ぬ」こと。平均寿命が長い割には1人当たりの老人医療費が全国最低水準で、元気なお年寄りが多い長野県の姿を指している。
しかし、長野県でもライフスタイルの変化から、若年層を中心に食生活が崩れつつあると宮田さんは話す。「食事の基本は家庭にある。家庭における草の根の食生活改善運動が必要だ」と宮田さんは強調し、時代に即した新たな施策を模索する。
(社会部・小那覇安剛)
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