決意と感謝、壁画に込め―。普天間高校3年の金城妃美佳さん(17)が、叔母が経営する沖縄市中央の美容室「花華」の外壁に壁画を描いた。将来の進路に悩む高3の夏、金城さんは県立芸術大学を目指すと決めた。幼い頃から髪を切ってもらっている叔母への感謝と、自身の決意を壁画に込めた。
少女漫画が好きで絵を描き始めたのは中学生時代。高校生になると油絵にも挑戦し、県内各地のギャラリーを回るようになった。さまざまなアーティストの作品に触れるうち、絵画への情熱も増した。全国高校総合文化祭に県代表として参加するなど、実力も付けた。
普天間高校は進学校で、周囲は学力重視の一般的な大学に進学する生徒が多い。芸術系大学への進学は少ないが「めちゃくちゃ迷ったけど、好きなことをしようと思った」という。
壁画に挑戦したのは、大学進学前に経験を積むため。描いたのは、絵が好きなことを知っている叔母の大城加代子さん(46)から「いつか描いて」と依頼されていた場所だ。
2階の高さにある外壁に描くため、親族のリフォーム業者に足場を設置してもらった。完成したのは花の形に開いた人の両手と、吸い寄せられるように飛んできたチョウ。店の名前をイメージした。縦2・8メートル、横3・5メートルの大作だ。
制作過程を見守ってきた父親の正明さん(47)は「(妃美佳さんの)二つ年下の妹は、手を花の形にすると本当にチョウが来ると信じていた。そのことを描いてくれたと聞いて本当にうれしかった」と、妃美佳さんの家族を思う気持ちに心を打たれた。
叔母の大城さんは「妃美佳はいとこの中で一番年上で、みんなのお姉ちゃん。妃美佳が頑張ったらお手本にしてみんな頑張るので、応援したくなる」と目を細めた。
(稲福政俊)