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70年越し卒業に涙 「ずっと学びたかった」 三和さらばんじ学級

卒業証書を手に笑顔を見せる受講生ら=18日、糸満市の真壁コミュニティセンター

 【糸満】沖縄戦後の混乱期にさまざまな事情で義務教育を十分に受けることができなかった72歳から81歳までの人を対象に、2013年から無償授業を行ってきた糸満市真壁の「三和さらばんじ学級」の卒業式が18日、真壁コミュニティセンターで開かれた。3年間、週3回の授業に欠かさず足を運び必死に学んだ受講生13人は、約70年越しの卒業証書を受け取るとうれし涙をにじませた。卒業式には受講生を支えた講師や家族、関係者が駆け付け晴れ姿に拍手を送った。

 無償授業は、NPO法人三和人材育成会(金城佳隆理事長)が県教育庁の義務教育未修了者支援事業の委託を受けて実施した。地域の退職教諭らが講義を担当し、真壁小学校や三和中学校も協力。受講生は10教科を学んだ。3年間の学習時間は計882時間。平均出席率は93・6%だった。
 受講生の多くは戦後の混乱期に家計を支える働き手として社会に出たため、中学を卒業することができなかった。
 古波倉和枝さん(82)もその1人。「ずっと学びたいという気持ちがあった」と振り返る。さらばんじ学級で学んだ3年間について「長時間の勉強に慣れず苦しい時もあったが、講師に励まされ、今では学ぶことが生活の一部になった。幸せな時間だった。これからも人生を楽しみたい」と笑顔を見せた。
 校長を務め、受講生を見守ってきた三和人材育成会の金城理事長(67)は「戦中戦後と苦労した皆さんだが向上心と強い心で懸命に学んだ。よく頑張ってくれた」と努力をたたえた。
 卒業証書を受け取り、涙を流した中村文子さん(80)は沖縄戦で父を失い、戦後は母と兄と共に必死に働いた。海水に水を混ぜてカズラの茎を炊いて食べたこともある。「苦労したけど、この3年間は大切な思い出として心に残っている」と話した。一緒に宿題をしたという孫の日向子さん(21)は「勉強ができる環境が、どれだけありがたいことか祖母に学んだ」と語った。
(赤嶺玲子)