カシノキラン、保護成功 開花、将来自然へ


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保護が成功しかわいい花を咲かせたカシノキラン=名護市

 【名護】2年前に西銘岳で台風で倒木した枯れ木から採集し保護育成していたカシノキランが、花卉(かき)栽培農家の園田美穂子さん=名護市=の手で見事、花を咲かせることに成功した。

 園田さんは「生育状況を見て元気のいい株は将来、自然に戻していきたい」と考えている。

 花は沖縄生物学会会員の島袋徳正さんが、植物分布の調査の際に見つけた。木が枯れるとランも枯れてしまう恐れがあったため、4株を採集して保護し、ヘゴに着生して名護博物館の職員だった園田さんに預けた。

 園田さんは大きなランハウス内で、毎朝水かけを続け大事に育ててきた。6月に入り花芽が出てかわいい花が咲いた。花弁は4ミリほどで、基部に淡赤色の斑紋があり、先端は黄色。4~10個付ける。

 スダジイ、イスノキなど自然林に着生する。しかし自然林の伐採などで激減し、環境省や県は「絶滅の危険が増大している」として絶滅危惧2類に指定している。千葉県は絶滅種にしているという。

 名前はカシ類に多く着生しているところから。本州、九州、沖縄、台湾などに分布。ラン科。
(幸地光男通信員)