気の毒な名ですが… ヘクソカズラ愛らしく


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 へクソカズラ

 【名護】なんとも気の毒な名前。その名もへクソカズラ。日本在来のつる性で、市街地の道端のフェンスでよく見られる多年草。

 花冠は外面が白く、内面は紅紫色の鐘状でかわいい。葉は長卵形長柄を持ち対生。

 和名は茎や葉をもむと悪臭があるところからというが、実際にもんで臭いを嗅いでも、普通の草同様の青臭さがある程度。いわれるほどはない。

 万葉集では「くそかずら」で登場。「~くそかずら 絶ゆることなく 宮仕えせむ」と詠まれる。

 花をおきゅうに見立て、ヤイトバナとも。また早乙女のかさに見立てサオトメバナなどの別名もある。やいとはお灸のこと。民間療法で実の汁を塗り、あかぎれに利用したという。

 方言名フィーフィリカンダ。アカネ科。
(幸地光男通信員)