沖縄を活動拠点に 〝神の子〟山本〝KID〟徳郁、美憂、「最高の場所」で挑戦


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沖縄合宿で家族の絆を深める山本美憂(中列左)と弟の山本“KID”徳郁(後列右)、長男のアーセン(同左)ら=5日、豊見城市真玉橋の平仲ボクシングスクールジム

 「現役中は腰を据えて沖縄でトレーニングする」。五輪レスリング日本代表の山本郁榮を父に持ち、総合格闘技(MMA)に転向した女子レスリング元世界女王・山本美憂(42)は長男・アーセン(20)と、総合格闘家で“神の子”の異名を持った弟・山本“KID”徳郁(39)と共に沖縄で汗を流す。県内で練習を始めて2カ月余。拠点をそれまでのカナダから県内に移すことを決断した。「格闘家にとって最高の場所だ」と競技の集大成を沖縄に懸ける。(崎原有希)

スパーリングで汗を流す山本美憂(大城直也撮影)

 美憂は身長156センチ、49キロ。妹の聖子さんも女子レスリングの元世界王者で、徳郁を含めたそれぞれの活躍ぶりは「格闘界の山本ファミリー」として広く知られている。

 史上最年少の17歳でレスリング世界女王にもなった。国内で活躍後、出産などで競技を休む年月を経て、カナダ代表での五輪出場も目指したがかなわなかった。41歳を迎えた時、MMAへの挑戦の話が舞い込んだ。アスリート人生を「何もなく辞めるのは嫌だ」と迷いはなく新しい世界に飛び込んだ。

 新たな挑戦場所を見つけ研さんを積む中、徳郁の誘いが沖縄行きのきっかけとなった。平仲ボクシングスクールジム(豊見城市)の平仲信明会長に憧れた徳郁は、6年前から選手として同ジムに通い練習に励んできた。課題のパンチ力を集中して磨けるなど練習環境の良さを痛感。姉の美憂に同ジムでのトレーニングを推薦した。美憂もすぐに気に入り、家族で沖縄に移り住んだ。

 徳郁自身は将来的には沖縄でジムを開き、「沖縄から世界で活躍する選手を育てたい」と指導者としての夢も描くようにもなった。

 母よりもMMAの競技を少し早く始めたアーセン。「母は戦友でパートナー、叔父はコーチ。2人は家族でありチームメートだ」と話す。美憂とアーセンは31日、埼玉で行う格闘技大会「RIZIN(ライジン)」に出場を予定。夢を追い続ける「山本ファミリー」の沖縄での挑戦が始まっている。