島バナナ 鉢に実った EM機構が“プチ農業” 玄関先で、もぎたてを


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自身が育てた島バナナを前に「畑がなくても栄養バランスの良いEM堆肥があれば、鉢でも十分育つ」と断言する宮城誠さん=20日、北中城村のEM研究機構事務所前

 北中城村にあるEM研究機構(比嘉新代表)の玄関先で、有用微生物群(EM)を活用した生ごみ発酵肥料を使い、鉢で育てた島バナナの果実がたわわに実り、多くの人の目を楽しませている。手入れをする同社のEM建築推進プロジェクトリーダー宮城誠さんは「鉢で島バナナの栽培ができれば、畑に行かずして観光客や子どもたちに沖縄の県産果物がどのようにできるのかを見て学び、もぎたての味を楽しんでもらえるはず」と述べ、植栽の新たな可能性に期待を寄せる。

 宮城さんは「5時からプロジェクト」と称し、数年前から業務終了後に同社事務所の敷地内でEM肥料と鉢を使った“プチ農業”に取り組んでいる。島バナナの栽培は3年前から始め、環境条件を変えるなど試行錯誤を重ねてきた。今回実を付けたのは、昨年2月に植えた鉢。名護市にある自身の畑から引き抜いた約1メートルの苗を直径55センチの鉢に植え、生ごみ発酵肥料と米ぬかで作ったボカシ(肥料)を与えたところ見る見る成長し、1年4カ月で高さ2・5メートルの「畑で育てたものと同等のサイズ」にまで成長した。

 島バナナの栽培は「畑でも難しい」と指摘するEMの開発者、比嘉照夫琉球大名誉教授は「鉢植えで2・5メートル級に成長すること自体珍しく、さらに立派な実を付けた例は恐らく県内で初めてだ」と述べ、EMを活用した家庭菜園の広がりに期待を寄せた。

 島バナナの実は今後しばらくは観賞用としてそのままにし、時機を見て収穫し味を楽しむ予定だという。宮城さんは今後パイナップルやサトウキビ、シークヮーサーなど県産果物の植栽にも力を入れ「多くの人に沖縄ならではの植物の魅力を伝えたい」と意気込んだ。(当銘千絵)