コラム「南風」 親子読書


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 先だって、こんなほほ笑ましい読書標語に出合いました。「ぼくはすき パパのおひざでよみきかせ」。子どもが親子読書を大好きな理由に納得です。絵本が好き。でも、もっともっと大好きなのがパパのおひざなのです。パパのおひざを独占できる唯一の時間が「よみきかせ」なのでしょう。

 粟国村立粟国小学校1年生の上原ひろき君の読書標語です。
 沖縄県教育委員会が、子どもの読書活動推進を図るために掲げた「毎月第3日曜日は家庭読書の日」のスローガンは、人口750人余の小さな島でも行政、学校、村民が一体となり取り組んでいました。
 去る10月26日、「粟国村第4回読書まつり」に呼んでいただきました。当初の計画では、県立図書館の移動図書450冊をフェリーに積んでの粟国行きでした。あいにく台風27号の影響でフェリーが欠航となり、私だけが飛行機で島に渡ることになったのでした。
 返す返す残念なのは、たくさんの本を子どもたちに提供できなかったことです。公民館前で本の到着を待ちわびていた子どもたち。私を見るや駆け寄ってきました。「本が来た!」。心が痛みました。あらためて天候に左右される離島の大変さを痛感しました。
 さて、話は少しそれますが、読書推進運動に携わる人であれば、「親子読書」「家庭読書」と言うとすぐに椋鳩十先生の名前が挙がるかと思います。名作『マヤの一生』『片耳の大シカ』など多数の動物物語を書いた児童文学者です。同時に鹿児島県立図書館長でもあった椋先生は、昭和35年に「母と子の20分間読書」運動を全国津々浦々に広めました。「親と子がお互いに読んであげたり読んでもらったりして楽しむ。読書を楽しむだけの楽しさに夢中になる」
 前出の読書標語で椋先生の言葉を思い出しました。
(平良京子、県子どもの本研究会副会長)