沖縄市のひき逃げ 現場に米兵車両の部品


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 沖縄市の県道75号で4日、原付きバイクを運転していた男性(67)が転倒し、重体となっている件で、現場に落ちていた車の部品が海兵隊員が運転していた車両の部品とみられることが8日、複数の捜査関係者への取材で分かった。

同関係者らによると、県警が車両を調べたところ、現場に落ちていた左サイドミラーと同型のミラーが欠損していた。県警は海兵隊員が男性をひき逃げしたとほぼ断定し、道交法違反(ひき逃げ)での立件を視野に捜査を進めている。
 海兵隊員は米軍を通じて、県警の車の提供要請に応じており、県警は照合作業を進めている。県警によると現場には原付きバイクのブレーキ痕や滑走痕はない。またバイクには車が接触した形跡がないことから県警は、海兵隊員が運転する車のサイドミラーが男性の体に接触し落下した可能生があるとみて、当時の状況を詳しく調べている。
 捜査関係者によると、県警は基地内でこの海兵隊員から任意で複数回事情を聴いており、この海兵隊員は、男性が転倒したとみられる時間帯に現場周辺を車で走行していることを認めているという。県警は今後も任意での事情聴取を続ける。
 県警は付近の防犯カメラに写った車の通過時間と、バイクが転倒したとみられる時間を計算し、転倒に関与した疑いのある車両を絞り込んだ。米海兵隊員の他にも数十人の持ち主から事情を聴いており、うち数人は今回の事案と関係ないことが判明したという。
 在日米軍が実施する外出・基地外飲酒を制限する勤務時間外行動指針(リバティー制度)では、一定階級以下の兵士について午前0時から5時までの外出を禁止している。
 男性が転倒した時間は4日午前5時ごろで、米海兵隊員が関与していた場合、同制度に違反していた可能性もある。一方、米軍はリバティー制度を9日から緩和する。
 日米地位協定では、米軍人や軍属の容疑者の身柄が米側にある場合、起訴するまで米側が拘束すると定めている。1995年には「運用改善」として、殺人など重大犯罪や日本政府が重要だと認識するものは米側が身柄引き渡しに「好意的な考慮を払う」ことに日米両政府が合意した。今回の件では、ひき逃げで海兵隊員を立件すると判断した時点で、身柄の引き渡しを米側に求めるか判断するとみられる。