<金口木舌>詐欺にひっかかる前に


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 先日、ある都市銀行の名前で電子メールが届いた。そもそも口座がないので不思議に思って調べると、アドレスが本物の銀行とそっくりだが、少しだけ違う。偽サイトに誘導して個人情報を抜き取る詐欺だったようだ

▼詐欺とは無縁と思っていたが、どこで調べたものか、こうしたメールが送られてくるから油断できない。悪賢い手法は手を替え品を替え、繰り出される。気付いたのは運が良かったとしか言えない
▼運悪く「おれおれ」や「架空請求」などの特殊詐欺に引っ掛かる人が絶えない。2014年はとうとう被害額が500億円を超え、3年連続で過去最悪を更新した。もはや人ごとではない
▼落ち着いて電話をかけ直すなどの対策を警察は呼び掛けるが、息子や孫の一大事と動転している人にはなかなかその余裕がない。撃退法の中でユニークなのは警視庁の公式ツイッターで紹介されていた次の方法
▼「本物の息子なら好きなアニメシリーズのキャラクター全員の名前を言え」という母親の機転。思わず笑ったが、見事な切り返しだ。これには犯人も黙って電話を切るしかなかったようだ
▼機転を利かせた母親と息子は普段からコミュニケーションがあったのだろう。忙しくて顔を合わせることが少なくても、いざというときに役立つ。詐欺防止のためとは言わないが、家族の会話の大切さをあらためて見直したい。