日台漁業協定2年、沖縄側に残る不満 認識の違い浮き彫り


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2013年4月10日に結ばれた日台漁業取り決め(協定)について、外務省に相当する台湾の外交部は14日までに締結2周年の声明を発表し、同宜蘭県で調印2周年のイベントも行った。日本の排他的経済水域(EEZ)内で、台湾が主張する海域での漁業問題は「適切に処理され、アジア太平洋地域の安定と繁栄に貢献できた」と評価している。

外務省は正式に声明を出していないが、3月の日台漁業委員会で決定した新たな操業ルールに「一定の成果があった」と評価した。一方、県内の漁業関係者からは「もともと、われわれの海域」と不満の声が挙がった。
 外交部の声明書は「『日台漁業協定』調印2周年の優れた成果」という表題で、「取り決めが締結される1年前、17件争議があったが、現在は全くなく、良好な作業秩序が確立された」と評価している。
 新たな操業ルールについて「日本の小規模な漁船を配慮し、海域によって昼夜交代操業などを原則とし、双方のトラブル減少や漁業者の操業利便性を高めた」と指摘。「今後も、日台漁業委員会を通して、協議できていない海域について日本側と交渉していく」方針だ。
 外務省アジア大洋州局中国・モンゴル第2課の伊藤直人首席事務官は、日本側が声明を発表しないことについて「文化の違いもあると思う」と話し、その上で「漁業者がちゃんと安心して漁を行ってもらうことが一番重要だ」と強調した。
 一方、県漁業協同組合連合会の国吉真孝会長は「EEZが国際法で決まる前まで、台湾漁船も日本のEEZ内を操業していた」と説明し「EEZが決定後、台湾はそれまで使っていた漁場を使えなくなった。もともと(台湾漁船が)使っていた漁場が戻って来たということでセレモニーを実施したのではないか」とみている。「(協定の)適用水域内は、日本のEEZ内でわれわれの海に違いない」と強調し、台湾側との認識の違いが浮き彫りになった。