軍強制否定の研究なし 林氏、自著引用に不快感

29日の県民大会に向け、多くの人が集まったプレ集会=27日夜、東京都文京区の文京区民センター

 【東京】29日の教科書検定意見撤回を求める県民大会を前に、「大江・岩波沖縄戦裁判を支援し真実を広める首都圏の会」などは27日夜、東京都文京区の文京区民センターでプレ集会を開いた。

沖縄戦研究者の林博史関東学院大学教授は、文部科学省が「集団自決」(強制集団死)の日本軍強制の記述修正を求める根拠に自著を挙げたことについて「集団自決が日本軍強制であったことを否定する研究は全くない。あまりにひどい検定だ。文科省の論理は全く根拠がない」と述べ、恣意(しい)的な引用をされたことに強い不快感を示した。集会には260人以上が参加した。
 文科省の教科書調査官は2006年12月に執筆者や教科書出版社に対して検定意見を通知した際、林教授の『沖縄戦と民衆』を挙げ、記述修正を求めた。
 林教授は「日本軍が目指していたのは、命令しなくても自ら死ぬような皇民をつくることだった。自決を素直に受け止める素地がつくられていた。生きるという選択肢がないと思わされた全体のプロセスを明らかにしたのが、これまでの沖縄戦研究だ」と強調。「日本軍の存在は決定的役割を果たしている。部隊長命令の有無を根拠にして、教科書の記述を変えるのはおよそナンセンスな話だ」と話し、これまでの沖縄戦研究の積み重ねを無視した検定意見を厳しく批判した。
 これに先立ち、山内徳信参院議員(社民)、山口剛史琉球大教授らが講演した。