「安室さんの幸せが僕の幸せ」プロサッカー選手・ボンバー中澤が語る安室奈美恵


この記事を書いた人 稲嶺 盛裕
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多くの人を魅了し続けてきた歌手の安室奈美恵さん。MC(曲の合間の話)なしの2時間超のステージを繰り広げるその姿はアスリートとも表される。そんな彼女の姿は実際のスポーツ界のアスリートをも魅了してきた。サッカー界きっての安室ファンである横浜F・マリノスの中澤佑二選手に安室さんの魅力についてたっぷり聞いてきました。

(聞き手・仲井間郁江 琉球新報Style編集部)

―安室さんを好きになったきっかけは。

かわいいな~っていうのが最初。若い時はみんなもそうだと思うんですよね。モデルさんでもタレントさんでも、スポーツ選手でも誰でも、かっこいいな、かわいいなとかから入るのかなと。最初は中学か高校の頃だったかと思いますが、ポンキッキーズに出ている安室さんを見て胸がときめきましたね。ただウチは、テレビは一台、チャンネル権は親父っていう家だったので、なかなか自分の好きなタイミングで好きなテレビが見れない。そういう状況の中で、タイミング良く見れたらラッキーっていう感じでした。

サッカーにのめり込んでいくなかで、「好きな歌手誰?」って聞かれたら「安室奈美恵」って答えるようになってましたね。歌番組を見始めてから、かわいいなってだけでなく、歌うまいな、踊りうまいなって、より安室さんに興味を持つようになりました。

 

海を越え

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―高校を卒業してブラジルにサッカー留学する時も支えになったと。

ブラジルに安室さんのポスターを持参しました。ベッドの脇にポスターを飾って毎日ポスターを見ながら、絶対にプロになるんだって、辛くても苦しくても頑張ろうって思ってました。

「Don’t wanna cry」が僕がブラジルに出発した直後に発売されたので、CDを買ってブラジルに持っていくことができなかった。それで友人が後日カセットテープに録音してブラジルまで送ってくれたんです。「You’re my sunshine」も同じように録音して送ってくれた。ブラジルにいた1年間、ひたすらこのテープを聴いてました。

―安室さんのCDを1枚持っているだけで「お守り」のような心強さがありますよね。

そう、それ!!安室さんの何かを持っていると、何か、自分のテンションが下がった時に寄り添えるというか、困った時に戻れる場所がある感じ。そういう存在にこっちが勝手にしちゃっているだけですけどね(笑)。

散歩中の密かな楽しみ

―一番好きな曲は。

曲はどれも大好きなのですが、その中でも「BabyDon’t Cry」。
かわいい。ミュージックビデオが、とにかくかわいい。

―やっぱり、そこ(かわいい)に戻るんですね。

そうなんですよ(笑)ミュージックビデオが、ダンスメインではなく、街中や公園の中を歩いているだけの映像なんですよ。ちょっと微笑みながら口ずさみながら歩いている安室さんがまた素敵なんですよね。僕もその曲を歩きながら同じように口ずさんだりして(笑)。歌詞もすごく良いですし、とにかく一緒に散歩しているみたいで最高なんです。

―で、同じように公園を歩いたと。

本当はそういうのはやっちゃいけないんだよ!!って自分に言いきかせたんですが、こればっかりは(笑)安室さんが歩いたと思われるところを曲を聞きながら、映像をイメージしながら歩きました。
あ、ここビデオのあの場面だな、って。スグわかりましたよ。

―一人で?

一人でですよ。さすがに誰か誘ってはできないですよ。っていうか誰も来てくれないですよ(笑)
ま、散歩がてらに。僕、散歩が大好きなんで。それでカロリー消費しながら体の疲労も取りながら、そしてリフレッシュがてらですね。
あ、ここだなあのシーンは。あの石の階段のぼって、隣に電車が走っててって思いながら。ここのイチョウかなぁとかって思いながら。

―この曲は、自分が楽しいとき、落ち込んだ時、どちらの時によく聞きますか。

「Baby Don’t Cry」は常に毎日聞いてます。試合前やドライブ中はもちろん、晴れの日も雨の日もどんな時でも。ライブDVDの「Baby Don’t Cry」はすごい良いですよ。安室さんの歌に合わせて「Baby Don’t Cry」ってみんなで歌うところとか、もうたまんないです。それとたまに見せる笑顔…もうキュンキュンしますね。やっぱりライブは最高です。

―サッカーと音楽、分野は違えど同じ「プロフェッショナル」として安室さんの存在に刺激を受けてきた部分は。

2006年に初めて安室さんのライブに行かせていただきました。最初は安室さんのことが大好きで、ライブを見れてすごく嬉しいっていう気持ちだったのですが、ライブが進むにつれて、全力で歌って踊って、一切手を抜かない、ファンのために全力を尽くす安室さんの姿を見て、僕自身に置き換えて見るようにもなったんです。サッカー選手と応援してくれるサポーターという関係性で。あ、こういう気持ちでサポーターはサッカーを見に来てくれているんだなって、憧れの選手を見ているんだなって、「サポーター目線」を気づかせてくれたのが安室さんでした。

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安室さんのライブはMCはないんですけど、一生懸命踊って歌っている姿を見て「あっ、なるほどな、こういう風にやることが本当のプロなんだろうな」って思ったんです。プロってこうじゃなきゃいけないって、あらためて気づかされましたね。僕もそれ以来、見に来てくれるサポーターの目線を、安室さんを見ている自分の目線と置き換えて、どんな時でも全力でやるということをモットーにしています。

―本当にキングオブファンですね。そういう思いでずっと見てきた存在。昨年の引退発表はどういう状況で知りましたか。

最初はLINEで「安室ちゃん辞めるの?」ってのが知り合いからたくさん来ました。それで、ネットで調べて、えっ??ってなって、家に帰ってテレビ見たらニュースになっていて、一人でパニックになってましたね。

―その日のブログに心境を書いていましたね。

あの時はチョットもう、思考回路がおかしくなってて。訳のわからないブログをアップしてしまいました。すみません。

中澤さんのブログより

―安室さんと中澤さんは同学年。お互い分野は違えど、勝負の世界で第一線に立ち続けることはそう簡単なことではないと思いますが、安室さんの引退表明から1年、自分自身の日々の過ごし方などに影響はありましたか。

自分もプロサッカー選手として何があっても弱音は吐かないようにしようと。より全力でトライするぞと。あっちが痛い、こっちが痛い、ってあるけど、逃げないようにしようと。もっともっと真剣にサッカーに取り組もうという気持ちで過ごしてきました。そして、安室さんの過去のライブDVDをひたすら見返しました。

―安室さんにメッセージを送るとしたら。

そうですね。25年間本当にお疲れ様でした。そして、たくさんの素敵な思い出をありがとうございました。これからも安室さんの幸せをずっとずっと願っています。安室さんの幸せが僕の幸せです。

好きだからこそ

―安室さんの出身地でもある沖縄。沖縄を訪れたことはありますか。

プライベートで何度も。那覇、北谷、恩納村や宮古島も石垣島にも行きました。
沖縄料理は大好きですね。沖縄そばも好きですしチャンプルーも大好きです。ゴーヤー、モヤシ、フーもそうめんも。ヘチマも大好きです。海ぶどうもミミガーも島らっきょうも好きですね。雰囲気や音楽もすごく好きです。

―安室さんゆかりの地を訪れたり?

行かないですし、調べないです。

―愛するが故ですね。

いえいえ。そういうことをしたら安室さんに迷惑がかかると思うし、なにより嫌われたくないので(笑)ただ、もし、もしですよ、偶然どこかでお会いした際には、一緒に写真なんか撮っていただけたら最高に幸せだなぁなんて思ったりもしてますが(笑)。偶然ですよ、本当の偶然の場合に。その〝偶然〟を僕は人生80歳まで生きるとして残りの40年のうちに1度でもあればいいなと。おじいちゃんになるまで、なっても、そのチャンスが、どこかで奇跡が起きることを勝手に願っています、ははははは(笑)。

―これからも安室さんの曲を。

一生聞き続けます。新曲が出ないことは寂しいけど、今まで出した曲を何回聞いても聞くたびに味があるし、ライブを見れば見返すほど発見がある。同じ曲でも、ライブを見て気づくことがあるんです。ライブとミュージックビデオで振り付けがちょっと違っていたり、同じ曲でも年によって振り付けや曲調が少し変わっていたり。飽きることはないです!!

―中澤さんと一緒にDVDを見たらすごく楽しそうですね。

もう、ず〜〜〜〜っと喋ってます。安室さん可愛い。綺麗って。それでここがね、こうで、これが最高なんだって。このフリが右行って、次左でって・・。前はここがこうだけど、今回はこういう風にって。ちょっと黙ってって言われるくらいです、はい(笑)。

―一まだずっとお話をうかがっていたいところですが、時間もオーバーしているので、ありがとうございました。
(終)

中澤選手は、16日(日)放送のNHKラジオ第一の安室奈美恵さん特番「〜未来へ〜」(13:05〜15:55)にも出演(録音)する。

~ インタビュー後記 ~

ゆかりの地はあえて行かないなど、大好きが故に思いやりが溢れる中澤さんなりのルールに感服しました。愛ゆえに一歩引いて自分を律する姿や、「女子高生みたいなイチファンです」と自身を表現する姿に、シャイさや謙虚さ、思いやりや誠実さを感じ、もしかしたら安室さんと中澤さんは似ているのでは?!と思わずにはいられませんでした。(スミマセン、私、安室さんご本人にお会いしたことはありませんが・・・)。

スケジュールが詰まっていたにも関わらず当初の予定を15分以上も延長してインタビューに答えてくださった中澤さん。インタビューを終え部屋を出ても、楽しそうにDVDの話をしながら去っていく後ろ姿が忘れられません。

 仲井間郁江(なかいま・いくえ) 2006年琉球新報社入社。編集局経済部、東京報道部、社会部、政治部などを経て、4月から経営戦略局で琉球新報Style編集などを担当。口を開けば「安室愛」を語る日々。好きな色は「金」。