<金口木舌>正念場の動物園


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 牧草約100キロ、馬肉や鶏肉など約6キロ。前者はゾウ、後者はライオンなどの肉食動物が沖縄こどもの国で1日に消費する量だ。新型コロナウイルス感染拡大の影響で入場者数が激減した同園が餌代の寄付を募っている

▼インターネットのクラウドファンディングで目標を1970万円に設定した。支援者にオリジナルグッズや飼育員によるオンラインツアー、沖縄こどもの国の「国王」(1日園長)になれる権利などを贈るという。12月25日まで支援を受け付ける
▼今年4~9月の入場者数は前年同期比70・7%減。入場料などの収入は前年同期と比べ、約1億2千万円減少する見込みだ。開園50年の節目に思わぬ困難に直面している
▼コロナ禍で多くの動物園が餌代確保に知恵を絞っている。宇都宮市の宇都宮動物園で4月、書道家として活動するラーメン店主の協力を得て、象のふんで作った紙に文字を書いて販売するイベントもあった
▼沖縄こどもの国には貯金箱を抱えた子どもや近所に住む高齢の夫婦ら、寄付金を持参する人もいる。同園は50年前にも企業や団体による経済支援、県内外での募金活動が開園を支えた経緯がある
▼今年は休校、学校行事の中止など子どもたちは厳しい環境にある。さらに動物たちとの触れ合いを通し夢を与えてくれる施設も正念場を迎えている。多くの人に目を向けてほしい。