<金口木舌>世界自然遺産と不法投棄


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 「シャンプーの容器、建築資材」「空き缶、掃除機、電気ひげそり」―。不法投棄のごみをホームページで記載しているのは知床財団だ

▼2005年7月17日に世界自然遺産に登録された北海道・知床(斜里町、羅臼町)。景観だけでなく流氷がもたらす生態系が評価されたが、不法投棄が絶えない
▼ごみを確認すると、地元の人が捨てたと思われるごみと、外部からの来訪者が捨てたと思われるごみの両方が混在していた。ヒグマなど野生動物と人との距離が近く、「野生生物との軋轢(あつれき)(問題)が発生する」と警鐘を鳴らす。同財団は関係機関と連携して看板設置や巡回などの対策を実施している
▼ヤンバルクイナなど貴重な動植物が生息するやんばるの森でも不法投棄が相次ぐ。最近も国頭村辺土名で松葉づえや土のう袋が確認された。同村では5月にも長尾橋付近で不法投棄が確認されたばかり
▼「地域の先人たちが培ってきた知恵と技術を学びながら、道民一丸となって適正な利用と保全に努める」とうたった「しれとこ宣言」。宣言の通り、NPOなどが清掃活動を実施しているが、一番の解決策は不法投棄をしないこと
▼国連教育科学文化機関(ユネスコ)が世界遺産委員会で「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」を26日に審査する。世界に誇る自然を残すためにも、県民一丸となった知恵と保全策が求められる。