<金口木舌>高齢者の5人に1人が認知症になる時代に


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 多くの人が期待を寄せて注目しているだろう。製薬大手のエーザイが開発中の新薬で認知症のアルツハイマー病の症状悪化を抑える効果を確認したと発表した

▼平均寿命が伸びたことで認知症の患者は増え、2020年時点で65歳以上の認知症患者は約600万人。25年には高齢者の5人に1人、約700万人が認知症になると予測されている
▼最近は認知症を扱ったドラマや映画も多い。公開中の映画「百花」は認知症を患い記憶を失っていく母と、介護をしながら思い出をよみがえらせる息子の姿を描く。スペインの国際映画祭で監督賞を受賞した
▼多くの作品で患者本人、家族の苦悩や葛藤と同時に、一人の人間がどう生き、何を大切にしてきたのかも描かれる。その物語に涙を流すこともあるが、現実の介護はドラマのようにいかないことも多

▼介護にはそれまでの関係性、家庭の経済状況も大きく影響する。誰もが認知症と無関係ではいられない。新薬開発と同時に認知症当事者の尊厳が守られ、介護者を孤立させない社会作りも急ぎたい。