名護市の21世紀の森公園内にヤエヤマヤシが植えられた一角がある。ビーチ沿いにヤシ並木をつくることを夢見て、有志で植樹活動を続けてきた
▼2008年に「名護21世紀ビーチに千本のヤエヤマヤシを植える会」を設立し、活動の中心となったのは市東江出身の故・屋部高志さん。22日、屋部さんの生誕100年と活動15年を記念した植樹があった
▼病気療養で滞在したハワイの風景を見て、ヤシの植樹を思いついた。オアフ島のアラモアナ公園をモデルにしたヤシ並木を目指した
▼「わが道を行く人。一つの形を残したかったのだろう」と長男の高秀さん。19年に亡くなったが志は引き継がれた。名護市と石垣市の間でカンヒザクラとヤエヤマヤシを交換する交流も続いている
▼叔父は「ゾルゲ事件」に連座し、獄中死した画家の宮城与徳。戦時下の重苦しい空気の中で「これからは君たちの時代がくる」と何度も声を掛けられた。この言葉に励まされ、戦後を歩んだのであろう。ビーチにたたずむヤシは、屋部さんの人生と功績を次世代へ語り継ぐ。