<金口木舌>女優のオードリー・ヘプバーンは・・・


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 女優のオードリー・ヘプバーンは後年、ユニセフ親善大使として子どもたちの支援に尽くした。「子どもより大切な存在ってあるかしら?」と語り、子どもの人権を訴え続けた

▼ユニセフの子どもの権利条約はこう宣言している。「親は、子どもの心やからだの発達に応じて、適切な指導をしなければならない」「すべての子どもは、生きる権利をもっている」(日本ユニセフ協会抄訳)。そして国の義務も定めている
▼子どもの人権がまた守られなかった。東京で5歳の船戸結愛ちゃんが3月、「もうおねがい ゆるして」とノートに反省文を書き残し死亡した。十分な食事も与えられず、虐待を受けていたとみられる
▼「もうほんとうにおなじことはしません ゆるして」。まだ小学校にも上がらない幼子が、どれほど必死の思いで綴(つづ)ったことだろう。5歳の子どもがここまで謝り、懇願したが、願いは聞き入れられなかった
▼結愛ちゃんは毎朝午前4時ごろに自ら目覚まし時計を合わせて起床し、義父の命令で平仮名書きを練習していたという。一家が香川県から上京してきた際、虐待の情報は児童相談所に引き継がれていたが、防げなかった
▼「あそぶってあほみたいだから やめるから」。子どもならどんなに遊びたかっただろう。それを自らやめるから許してと請う。そのか細い叫びを思うと本当に切ない。