<金口木舌>「アレクサ、あの曲をかけて」。81歳の男性が人工知能・・・


この記事を書いた人 琉球新報社

 「アレクサ、あの曲をかけて」。81歳の男性が人工知能(AI)スピーカーに話し掛けると、古いジャズが流れ始めた

▼米国で普及するAIスピーカー。成人の5人に1人が利用しているというデータもある。1人暮らしの知人も天気予報やレシピ調べに活用し「いい話し相手だ」と笑う。最近は亡くなる旧友が増え、別の州に住む息子も遊びに来ないと話す姿は寂しげだった
▼そんな彼からメールが届いた。「イキガイって何? モアイはどんなもの? 楽しそう」。健康で長生きの人が数多く住む地域「ブルーゾーン」を取り上げた本やサイトを知り、沖縄の事例を見つけたという
▼冒険家で作家のダン・ビュイトナー氏が世界の長寿研究者と各地を調査してまとめたブルーゾーン。沖縄やギリシャのイカリア島、イタリアのサルデーニャ島などの食やライフスタイルから、健康長寿の共通点を紹介する
▼世界に冠たる長寿の島だった沖縄も、食生活の変化や運動不足、生活習慣病で「長寿崩壊」と言われて久しい。孤立が病気や死につながると指摘される中、模合や年中行事、信仰といった「つながり」を絶やさぬことが希望になるかもしれない
▼明日はウークイ。伝統料理を囲んで笑い、手を合わせてウヤファーフジ(祖先)とつながる日。最新技術より、物知りなお年寄りから知恵を授けてもらうのもいい。