<金口木舌>女傑の采配

 歴史上の女傑を挙げよと問われれば、フランスの国民的ヒロインのジャンヌ・ダルクが真っ先に浮かぶ。巴御前は平安時代の女武者。沖縄にもサンアイ・イソバが与那国に伝わる

▼15世紀末、島を治めた巨体、剛力の首長である。オヤケアカハチの乱を鎮圧した後、与那国を襲った宮古の軍勢を相手に奮戦した。島の開拓や交易に尽くし、島人に慕われた
▼腕力に物を言わせたのではない。4人の兄弟を集落に配置し、采配を振るった。島の歴史家、池間栄三さんは「中央集権的統治の才能」があり「内治を善くし、外患を防いでいた」と著書「与那国の歴史」に記した
▼歴史を下ること500年余。島は悩んでいる。町民の選挙を経て生まれた定数10人の町議会の議長が決まらない。5対5の与野党伯仲で双方が議長を出し渋っているのだ。島を治めた女傑ならば、いかなる采配を下したであろうか
▼議長選出が難航するのは与那国町議会に限ったことではないが、58回も議長選を重ねて決しないのは異常事態と言うほかない。与野党とも譲れない一線ではあろう。だが町政の停滞を招く事態に町民は困惑している
▼国境に接し、歴史の荒波に洗われてきた島だ。自衛隊配備を巡る対立で心を痛めた町民は、それぞれの立場で島の将来を見つめていよう。その町民が選んだ議員である。そろそろ融和の道を探る時ではないか。