<金口木舌>場所によって変わるのはなぜ


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 運動不足のせいか、はたまた年齢によるものか、東京に住んでいて体重を減らすのに苦労している。何か減量にいい手はないものかと方法を探っても、なかなか長続きしない

▼そんな折、本紙の副読紙週刊レキオ8月22日付にいい記事を見つけた。沖縄だと本土より「重さ」が小さく計測されると伝えている。記事によると札幌で100キログラムの物を那覇で計ると99・86キログラムとなるそうだ
▼物の「重さ」は、地面に引っ張られる地球の引力と、それとは逆に、地球の自転で外に引っ張られる遠心力との差になる。遠心力は赤道に近づくほど大きくなるため、緯度が低い沖縄の方が遠心力が大きく「重さ」は小さくなるのだという
▼東京から沖縄に戻れば140グラム近く軽くなるのだ、と喜んだのもつかの間、「重さ」は小さく計測されるが、物体そのものが持つ量である「質量」はどこにいても変わらないそうだ
▼「民意」というものも場所によって「重さ」が変わっていないだろうか。沖縄で何度となく示されている「民意」。県外で軽く扱われているように見えるのは錯覚なのか
▼「民意」を後ろ盾に沖縄の現状を伝えようと玉城デニー知事が全国を巡っている。大阪府の吉村洋文知事は玉城知事と面会せず、全国行脚を「極めて政治的」と言った。海を渡れば「民意」も重さが変わる。そう気付かせてくれる行脚でもある。