<社説>公示日首長調査 慰霊の日に反対の民意強い

 沖縄中が鎮魂に包まれる「慰霊の日」に、国政選挙の公示をぶつけようとしている安倍政権と与党の配慮不足が厳しく問われている。

 戦没者のみ霊を慰め、恒久平和を誓う特別な日の参院選公示はあってはならない-。本紙の市町村長アンケート調査で沖縄の民意が一つに結ばれていることが裏付けられた。
 自民、公明両党が来年夏の参院選公示日を6月23日の慰霊の日と想定していることに対し、県内の41市町村長全員が反対し、公示日を慰霊の日以外とするよう求めていることが鮮明になった。
 回答にはあいまいな見解は一つもなく、慰霊の日公示の問題点を端的に指摘している。県民の思いを代弁する意思が宿り、重大な事態であることを示す調査結果だ。
 安倍政権と与党は沖縄にとって何物にも替え難い最重要な日の公示を避けるべきである。
 衆参同日選の可能性をにらみつつ、公示日を政治判断する動きがあるが、沖縄社会の反発が強いこの日はできるだけ早く選択肢から外す決断を下してほしい。
 辺野古新基地問題に関する調査に対しては、回答を避けることが多い保守系9市長でつくる会のメンバーもこぞって反対している。
 「亡くなった人を思い、平和を願う日だ。静かな雰囲気で(鎮魂)したい」。会長の下地敏彦宮古島市長の回答に沖縄社会の受け止め方が凝縮されている。
 辺野古新基地問題で国と県が対立していることを挙げつつ、伊良皆光夫多良間村長は「この日に行われるなら、また沖縄の思いを踏みにじるような国の対応が問われる」と指摘する。沖縄の歴史と民意を軽んじていると見なされても仕方ない政権の体質を突く見解だ。
 「6・23に対する沖縄の思いは一つ」(島袋俊夫うるま市長)なのである。既に自民党県連と公明党県本部は党本部に対し、慰霊の日を公示日としないよう要請している。
 不戦を誓う慰霊の日に選挙「戦」が始まり、「出陣式」で気勢を上げることは沖縄戦の犠牲者をないがしろにし、遺族に苦痛を強いることになる。
 それにしても、自公両党の中で参院選公示日が検討された際、慰霊の日と重なる問題点に気付く政治家はいなかったのか。今回の問題は、政権と沖縄の距離感を象徴してもいよう。









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