<社説>ジェンダー・ギャップ 格差解消は政治の責務だ


<社説>ジェンダー・ギャップ 格差解消は政治の責務だ
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 日本の男女間格差が埋まらない。社会の変容に制度が対応できていないことの表れであろう。この状況を一刻も早く変える必要がある。

 スイスのシンクタンク、世界経済フォーラムが2024年版「男女格差(ジェンダー・ギャップ)報告」を発表した。各国の男女平等度のランキングで、日本は146カ国中118位だった。日本は過去最低だった23年版の125位から若干改善したが、先進7カ国(G7)で最下位であることに変わりはない。

 ジェンダー平等を求める声は噴出しているのに、格差は依然として埋まらない。格差の解消は政治の責務である。誰もが住みよい社会の実現に向け、即座に取り組むべき課題である。

 報告は経済、教育、健康、政治の4分野で男女格差を数値化している。日本は経済で120位、政治が113位で、両分野の遅れが目立つ。

 過去最低だった昨年の125位から順位を上げたのは、女性閣僚が増加したことがあるが、国会議員に女性が占める割合は低い。衆院定数で女性の割合は1946年の約8%から約10%と微増したに過ぎない。

 経済分野でも企業の役員や管理職に占める割合の低さが顕著だ。

 世界で日本だけが義務付ける夫婦同姓も男女間格差を固定化する一因となっている。旧姓を通称で使用することは認められるケースが多い。ただ、法的な根拠がないため、ビジネスの現場では海外渡航の手続きなどの際に支障が出ることがある。通称使用は日本だけの慣習で、海外では理解されないのだ。

 経団連は6月、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める提言を発表した。「生活上の不便、不利益といった改姓による負担が女性に偏っているのが現実」と厳しく指摘した。

 法制審議会が1996年に選択的夫婦別姓制度の導入を盛り込んだ民法改正要綱案を答申している。それから四半世紀以上経過しても、実現していない。経団連の提言は「政府が一刻も早く改正法案を提出し、国会で建設的な議論を期待する」と促した。

 ジェンダー平等を巡っては同性婚を認めない現法制も大きな論点である。日本はG7で唯一、同性婚や国レベルのパートナーシップ制度を導入していない。現行法の違憲性を問う訴訟が各地で起き、このうち札幌高裁の控訴審判決は、憲法が同性間の婚姻も異性間と同様に保障しているとして現行の関連規定を違憲と判断した。

 共同通信の世論調査で選択的夫婦別姓に賛成する意見は76%、同性婚を認める方がよいとの回答は73%に上った。国民は家族の在り方が多様化していることを理解しているのだ。女性の社会進出が進み、夫婦別姓や同性婚を求める人たちが安心して暮らせる環境を整えることで、より多様で豊かな社会が実現する。