第50回衆院選の沖縄の4選挙区では今回も、自民・公明と辺野古新基地反対を一致点とする「オール沖縄」の対決を軸に戦われた。前回3年前と同様に1、2区をオール沖縄が、3、4区を自民が制し、同じ顔ぶれの当選者となった。1、2区はそれぞれ共産党と社民党の全国唯一の小選挙区議席で、牙城を守った。退潮が続いたオール沖縄勢力が互角に踏みとどまり、辺野古新基地反対の民意の底堅さを示した。
辺野古新基地は現在進行中であり、問題だらけだ。米軍基地問題に加え南西諸島の軍事化が進められ、安全保障を巡る問題が沖縄を直撃している。沖縄から4人が比例九州ブロックで復活当選した。比例単独も含め、衆議院議員は計9人になる。党派を超えて、沖縄の民意に従って日米両政府に対峙(たいじ)してもらいたい。
今回、投票率が前回より約5ポイント下がり衆院選として過去最低の49.96%だった。有権者の半数が選挙権を行使しないという深刻な事態だ。自民党の裏金問題など「政治とカネ」を巡る政治不信のほか、石破茂首相が与党に有利になるよう早期解散に踏み切ったため、投票所入場券の発送の遅れなどが影響した可能性がある。
候補者が乱立したため、政策の違いが分かりにくかったという点もあるかもしれない。首相が予算委員会での論戦をせずに解散したことで、政策論争が不十分なまま短期決戦にしたことが、政策の違いが浸透しなかった原因の一つだ。
ただ、投票率の低下は今回に限らない。6月の県議選も45.26%と過去最低だった。政治家、政党だけでなく、選挙管理委員会をはじめとする行政、学校など教育関係、メディアなどあらゆる関係者が、投票率を上げるよう工夫し、努力する必要がある。
沖縄が全国より投票率が低いのは、争点の辺野古新基地問題で示した民意が政府や司法に顧みられないため、県民に「諦め感」があるからだという指摘もある。経済振興や地方自治の在り方にも関わる新基地問題を県民は諦めるわけにはいかない。政治家、各陣営は、避けたり逃げたりせずに、違いを説明し伝えることが求められる。
オール沖縄陣営は、辺野古新基地反対、オスプレイ配備反対を一致点としてきたが、自衛隊増強問題や那覇軍港の浦添移設問題への姿勢が弱い、あいまいだと指摘されてきた。これらの問題も合わせて結集軸とするよう検討すべき時ではないか。
自公の過半数割れを受けて、政権の枠組みを巡り混乱が続くのは必至だ。「政治とカネ」の問題も根本的な解決が求められる。物価対策など経済政策も待ったなしだ。それらに加えて、沖縄には特に経済振興と基地・安全保障という国政課題がある。沖縄関係の衆議院議員としてしっかりと責任を果たしてほしい。