財務相の失態 本当に深酒はなかったのか

 先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)閉幕後、ろれつが回らずもうろうとした状態で記者会見に臨んだ中川昭一財務相兼金融担当相が麻生太郎首相に辞表を提出し、受理された。
 世界のメディアの前で、日本の国際的信用を失墜させかねない醜態をさらしたわけだから当然だ。

 お粗末極まりないのは麻生首相の対応だ。国家の体面を傷つけ閣僚としての適格性に疑義が生じたにもかかわらず、当初、続投を指示していた。一般常識と懸け離れた判断であり、一国の指導者としての力量不足をあらためて露呈したといえよう。
 問題の会見で中川氏は、日銀の政策金利を言い間違えるなど迷言を連発、目を閉じる場面もあり、「深酒」「居眠り」を疑われた。
 自身は、ろれつが回らなくなった理由として、顆粒(かりゅう)と錠剤の風邪薬を多量に服用したことを挙げているが、政界で酒好きとして知られているだけに、飲酒が拍車を掛けた可能性も否定できない。
 現に前日の夕食会合ではワインを飲み、記者会見前の昼食会でもワインに口をつけたという。
 風邪薬とアルコールを同時に摂取すれば、相乗効果によって重い副作用が生じる恐れがあることはよく知られている。重要な国際会議の場で、体調管理を怠ったこと自体、閣僚としての自覚に欠けている。
 今回、中川氏はどういう種類の風邪薬を、いつ、どのくらいの量飲んだのか。前日、当日の飲酒量はどうだったのか。もし深酒による酩酊(めいてい)が原因だったとすれば、罷免にも値する行為だろう。
 中川氏には、国民に対しきちんと説明する責任がある。肝心な点をあいまいにしたままでは誰も納得しない。国民の政治に対する不信感を一層増幅させるだけだ。
 そもそも、もうろうとした状態になるほど体調を崩しているのなら、記者会見に出るべきではなかった。政府の危機管理の在り方にも疑問を呈さざるを得ない。
 中川氏は1月の衆院本会議での財政演説で「歳入」を「歳出」と誤読するなど26カ所も読み違いをしている。この時から体調に異変が起きていたのだろうか。何らかの病に冒されているとすれば気の毒ではあるが、奇矯(ききょう)な振る舞いをする人物を閣僚に据えていては国益を損ねる。