オバマ米大統領へ/沖縄基地もチェンジの時 平和賞にふさわしい英断を

 ようこそ、米大統領バラク・オバマ殿。就任後初の来日を心から歓迎いたします。日本滞在中、米軍基地が過度に集中する沖縄にも立ち寄られ、じかに現状を見てほしかったのですが、残念ながら今回、それはかないません。ただ、せっかくの機会ですので、沖縄の人々の率直な声、切なる願いを伝えます。

 日本の国土面積の0・6%にすぎない島しょ県の沖縄に、在日米軍専用施設の4分の3が集中しています。広大なスペースを占有されると、県民が暮らす地域の発展はままなりません。

踏みにじられる人権
 米軍機の離着陸や訓練による激しい騒音もさることながら、最も問題なのは、駐留軍に起因する悲惨な事故、残忍な事件が後を絶たないことです。
 1995年秋には、普天間飛行場問題の源流ともいえる痛ましい事件が起きました。民間の住宅街で買い物帰りの沖縄の少女を米海軍と海兵隊員3人が拉致し、暴行を加えました。怒りは渦巻き、基地縮小などを求める県民大会が開かれました。
 大会で生徒代表は「米兵におびえ、事故におびえ、危険にさらされながらの生活は嫌」「軍隊のない、悲劇のない島を返して」と訴えましたが、2004年夏、今度は海兵隊の大型ヘリが市街地の大学構内に墜落、炎上しました。
 今週は、沖縄の男性をひき逃げした容疑で陸軍兵宅が家宅捜索を受けました。これらは基地被害のほんの一例です。犯罪だけに限っても1972年の沖縄返還後、約5500件が発生、うち550件は凶悪犯でした。
 大統領はイラク戦争に一貫して反対し、人権や環境を何よりも大切にされると聞きます。戦場さながら人権を踏みにじり、豊かな自然や生活環境が破壊される沖縄の現状をどうご覧になりますか。米国では先週、軍医が銃を乱射する事件が起きましたが、沖縄の現状も自国に置き換えて考えてみてください。
 誤解のないよう申し添えますが、沖縄は米国が憎いということではありません。平和祈念公園に建つ「平和の礎(いしじ)」には米兵も含め全戦没者の氏名を刻んでいます。犠牲者をこれ以上、出すことを拒んでいるのです。
 今春のプラハ演説は印象的でした。あなたは唯一の原爆投下国として道義的責任に触れ「核兵器なき世界」の実現を宣言しました。こうも述べています。「ゴールはすぐにはたどり着けない。しかし『イエス・ウィー・キャン(わたしたちはできる)』と主張しよう」と。
 強い決意に、被爆国のわたしたちは共感したものです。その後、米国の核兵器保有量を12年までに01年比で半減させると表明し、期待が膨らみました。
 ノーベル賞委員会は平和賞授賞理由で、核なき世界に向けた構想や取り組みを高く評価しています。その理念や姿勢に揺るぎがないなら「核の傘」の下で長年、重圧にあえぐ沖縄の現実にも目を向けてください。

危険のたらい回し
 普天間飛行場を県内の別の場所に移す現行計画は「危険のたらい回し」にほかなりません。最近の世論調査でも、沖縄の人々の大多数は「県外・国外への移設」を求めています。
 あなたは「新しい時代に合った新しい発想、新しい政治を米国民が求めるからこそ変革は起きる」と説きました。ブッシュ共和党政権を批判し、大統領に就いたのですから、普天間問題でも前政権の日米合意に縛られる理由はないと考えます。
 普天間問題は「全面返還」から「県内移設」にすり替えられた経緯があります。冷戦終結から20年たち、沖縄にこれだけ大規模な米軍基地が必要なのかどうか。政治主導で徹底して洗い直してみるべきです。
 沖縄には「命(ぬち)どぅ宝」(命こそ宝)という言葉があります。多大な犠牲を払って得た教訓です。小さな島々に、巨大な軍事基地は似合いません。
 「未来は言葉でなく、行動によって築かれる」という大統領の信念に偽りがないなら、強いリーダーシップで、沖縄を「悲劇の島」から「平穏な島」に劇的にチェンジすべきです。
 平和賞にふさわしい英断と行動を願ってやみません。

English edition: Editorial:It’s Also Time for “Change” for the Bases in Okinawa. We Urge You to Take a Decisive Step Worthy of the Peace Prize