外国人参政権 「友愛」の真価が問われる

 政府が永住外国人の地方選挙権付与法案の今国会提出を断念しそうだ。異論もあるだけに、国民の目に見える場で広く論議すべきテーマだ。見送るとすれば残念だ。
 これが政治課題に浮上したのは1995年の最高裁判決がきっかけだ。在日韓国人の原告が選挙人名簿への登録を求めた訴訟で、訴えを棄却する一方、「永住外国人に地方選挙権を付与することは憲法上禁止されているものではない」と述べた。

 その後、韓国は再三、実現を要請し、自らも2005年に在韓日本人を含む永住外国人に地方選挙権を付与する法案を可決した。
 日本側も98年以降、民主、公明、共産などが再三、法案を提出したが、自民などの反対でいずれも廃案になった経緯がある。
 鳩山由紀夫首相、小沢一郎民主党幹事長は今国会での成立に意欲を示していたが、都道府県議長会が慎重審議を求め、国民新の亀井静香代表は反対を明言していた。
 研究者の見解は主に3説に分かれる。外国人への選挙権付与を違憲とみる「禁止説」、憲法が要請しており、選挙からの排除は違憲だという「要請説」、いずれにせよ立法府の判断に委ねられているという「許容説」だ。
 国会図書館の調査によると、かつては国政・地方選挙のいずれも禁止説が学説の大勢だったが、現在では国政については禁止説、地方については許容説が多数だ。学説上は法制化が可能とみていい。
 永住外国人も納税義務を果たしている。それなのに税金の使い道に何ら関与できず、居住地域の将来を左右する問題にも一切口を挟めない、というのは、やはり矛盾と言わざるを得ない。
 反対派は「外国からの内政干渉になる」と述べ、「納税は公共サービスの対価であり、選挙権とは別物」と主張する。亀井氏も「選挙権付与は民族感情を刺激する。帰化すればいい」と述べている。
 だが対象は地方選挙権であり、「内政干渉」に直結するとは思えない。反対論こそ、民族感情を過剰に刺激しているようにもみえる。確かに米国のように外国人参政権を認めていない国が多数だが、他国の動向で判断するのでなく、人権の観点から何が適切か考えるべきだろう。
 鳩山首相は「東アジア共同体構想」を提唱した。法制化と方向性は一致しよう。首相が掲げた「友愛」の理念が今こそ問われている。