チリ大地震 被災者支援で連携に努めよ

 中米のハイチ大地震に続き、南米でマグニチュード(M)8・8のチリ大地震が発生した。マンション倒壊、電力や水道、道路の寸断など生活基盤が破壊され、住民生活に多大な影響を与えている。
 チリ国家非常事態庁の集計では、全土の死者は800人を超えた。チリ大地震では、県内をはじめ、日本各地に津波警報が発表されたが、チリ中部沿岸に大きな津波が繰り返し押し寄せ、甚大な被害を及ぼした。

 地震や津波など天災による被災地を救援することは国際社会の責務である。がれきの下に閉じ込められた負傷者の生存率は、発生72時間が経過すると著しく低下する。多くの人命を救うためには、初動救助が重要だ。
 チリ政府は当初、国際社会への支援要請をためらっていた。国連への支援要請は発生3日目だった。銅産出などで経済が比較的安定し「南米の優等生」と呼ばれるチリは、自力での危機脱出を目指したことが裏目に出たようだ。
 日本は、被災者支援で300万ドル上限の緊急無償支援、約20人の医療チーム派遣、3000万円をめどにテント・浄水器・発電機などの援助物資提供を決めた。
 だが、チリ政府から医療チームについて見合わせの連絡があり、派遣を中止した。現地の態勢が未整備であることや略奪などの治安悪化が理由とみられる。
 被災地では発生4日を過ぎても十分な救援物資が届かず、略奪が横行している。チリ側も早急に他国の医療や物資の支援を受け入れる環境を整えてもらいたい。
 チリ政府は1月のハイチ大地震では、食料と医薬品、救助隊員や医師らをいち早く送り込んだ。だが、自国の震災への対応は鈍い。
 20年間続いた左派政権が1月の大統領選で敗れ、今月11日に中道右派の新政権が発足する直前の大地震だった。バチェレ大統領とピニェラ次期大統領が普段の主張の違いを乗り越え地震対策に臨んでいる。円滑な政権移行に向け、国際社会に安心感を与えることは重要だ。
 倒壊した建物のがれきの中で生存者の救助活動に当たる様子や、途方に暮れる人々の光景は阪神大震災を想起させる。その時の教訓も生かし、各国はチリ地震被災者の救出、支援で連携してもらいたい。チリ側の受け入れ環境の整備も含めてスムーズな連携が一日も早い復興につながる。